防災用の生理用品を準備しようとすると、「3日分なら何枚?」「7日分なら何枚?」と日数から考えたくなります。
ただ、生理用品は使う種類も交換回数も人によって違います。昼用が中心の人もいれば、夜用やショーツ型を組み合わせる人もいます。同じ「30個」でも、普段使う内訳と合っていなければ、必要な場面で使いにくい備蓄になりかねません。
東京都の「東京くらし防災」では、生理用品について「少なくとももう1周期分のストックがあると安心」と案内しています。
防災用の生理用品は「何日分なら○枚」と一律に決めるのではなく、普段の1周期で昼用・夜用・ショーツ型をそれぞれ何個使うかを確認し、その組み合わせをもう1周期分ストックするところから考えるのが分かりやすい方法です。
そのうえで、在宅用のストックと、非常持ち出し袋に入れる分を分けて考えます。
生理用品の備蓄は「何日分」より「もう1周期分」で考える
生理用品の必要量を日数だけで決めにくいのは、同じ人でも日によって経血量が変わり、使う種類や交換回数も一定ではないからです。日本衛生材料工業連合会「ナプキンについて」選び方でも、経血量の多い・少ない、昼・夜といった状況に応じて、サイズや厚さ、羽の有無などを選ぶ考え方が示されています。
防災用だけ別の基準で枚数を決めるより、まず普段の1周期を振り返るほうが、自分に必要な種類と量をつかみやすくなります。たとえば、次のように種類ごとに数えます。
- 昼用:1周期で何個使うか
- 夜用:1周期で何個使うか
- ショーツ型:普段使っている場合は何個使うか
- そのほか、自分が普段使っている生理用品
東京都の「東京くらし防災」は、災害時のストレスによって生理周期が不規則になる場合があることにも触れています。予定日だけを基準に最小限の枚数を用意するより、普段使うものをもう1周期分持っておくほうが、予定外のタイミングにも対応しやすくなります。
これは必要枚数の目安ではなく、数え方の例です。
仮に前回の1周期で、昼用18個、夜用6個、ショーツ型2個を使ったとします。この場合の予備の1周期分は、「合計26個」と一括りにせず、「昼用18+夜用6+ショーツ型2」という内訳のまま考えます。
こうしておくと、夜に昼用しか残っていない、普段使わない種類ばかり余っている、といった偏りを避けやすくなります。

在宅備蓄と持ち出し用は、同じ量を入れなくていい
「もう1周期分を備える」といっても、その全部を非常持ち出し袋に入れる必要はありません。
政府広報オンラインの「【防災特集】ACTION01 災害に事前に備える」では、常時携行する災害用品は必要最小限とし、女性が携行するものの例として生理用品を挙げています。あわせて、在宅避難に備える品として、生理用品のように日常生活で切らしたくないものも考えておくよう案内しています。
この案内を踏まえ、防災えらびでは在宅用と持ち出し用を分けて考えます。持ち出し用は、普段の1日分を単位にしておくと、避難先や持ち出せる量に合わせて増減しやすくなります。
| 考える場所 | 量の決め方 | 種類の考え方 |
|---|---|---|
| 在宅備蓄 | 普段の1周期分を基準に予備を持つ | 普段使う昼用・夜用・ショーツ型などの内訳を再現する |
| 非常持ち出し袋 | 普段の1日分を単位に、避難先や持ち出せる量に合わせて分ける | その時間帯・状況で使う可能性が高い種類を入れる |
持ち出し用は「必ず○日分」と決めず、自分が普段1日にどの種類を何個使うかを一度数えておくと、必要量を調整しやすくなります。
持ち出し袋には、水や食料、モバイルバッテリー、着替えなどほかの用品も入ります。生理用品だけで袋がいっぱいにならないよう、在宅ストックと役割を分けておきます。
生理用品以外の追加品も含めて非常持ち出し袋全体の重さを見直したい場合は、「女性向け防災リュックは重さで選ぶ|持ち出しやすいセットを中身まで比較」の記事で、持ち出せる重さと中身の考え方を確認できます。

昼用・夜用・ショーツ型は「同じ枚数」でそろえない
昼用・夜用・ショーツ型は、同じ「生理用品」でも役割が違います。防災用だからと1種類だけをまとめ買いするより、普段の使い分けを再現できるかを確認したほうが実用的です。
種類ごとの例として、メーカー公式で用途やサイズを確認できた商品を比べます。
| 製品 | 形式・主な用途 | 公式に確認できる特徴 | 防災で確認したいこと |
|---|---|---|---|
| センターインコンパクト1/2 無香 多い昼~ふつうの日用 | 昼用ナプキン | 羽つき・21.5cm、普通のスリムナプキンの1/2サイズ(ユニ・チャーム社製品比) | 持ち出し袋でかさを抑えたい場合に、普段使えるサイズか確認する |
| ソフィ 超熟睡®ガード420 | 夜用ナプキン | 特に多い夜用、羽つき・42cm | 夜用として普段必要な長さを備えつつ、収納スペースも確認する |
| ソフィ 超熟睡®ショーツ M-Lサイズ | ショーツ型 | ナプキンとショーツが一体、M-Lサイズはヒップ87~100cm | 普段ショーツ型を使う人が、サイズと交換方法を確認して備える |
この3種類に「一番おすすめ」はありません。昼間の持ち出しやすさ、夜間に必要な長さ、普段ショーツ型を使うかどうかで、選ぶものが変わります。
持ち出し用を小さくまとめたいなら|センターインコンパクト1/2 無香 多い昼~ふつうの日用
ユニ・チャームの「センターインコンパクト1/2」は、普通のスリムナプキンの1/2サイズと案内されているコンパクトタイプです。今回比べる多い昼~ふつうの日用は、羽つき・21.5cmです。
非常持ち出し袋には、生理用品のほかにも水、食料、衛生用品などが入ります。普段使っている昼用と同じ用途で使えて、収納時のかさを抑えたい人には候補になります。
ただし、「小さいから防災向き」と決めてしまう前に、自分が普段使って問題のない長さ・タイプかを確認しておきましょう。防災用だけ別の商品に替えると、いざというときに使い慣れていない可能性があります。
夜用の長さを普段どおり確保したいなら|ソフィ 超熟睡®ガード420
「ソフィ 超熟睡®ガード420」は、特に多い夜用の羽つきタイプで、長さは42cmです。
夜用を普段使っている人は、防災用の備蓄でも昼用だけに置き換えず、いつもの1周期で使う夜用の個数を分けて数えておくと、不足に気づきやすくなります。
一方で、42cmの夜用は、昼用のコンパクトタイプとは形状も大きさも異なります。非常持ち出し袋に入れる場合は、何個持つかに加えて、ほかの用品と一緒に収納できるかも確認しておきます。
ショーツ型を普段使っているなら|ソフィ 超熟睡®ショーツ M-Lサイズ
「ソフィ 超熟睡®ショーツ」は、ナプキンとショーツが一体になったタイプです。今回確認したM-Lサイズは、ヒップ87~100cmが目安として示されています。
普段からショーツ型を使う人は、その使用個数も1周期分の内訳に含めます。反対に、普段使わない人が「災害時には便利そう」という理由だけで大量に追加する必要はありません。
商品ページでは、使用後は通常どおり脱ぐか、両脇を破って外す方法が案内されています。パッド型とは交換方法が異なるため、非常時に初めて使うのではなく、自分に合うサイズや扱い方を事前に確認しておきます。
「30個セット」は自分の必要枚数の答えではない
東京都の「東京防災」には、モデル世帯の備蓄例として「生理用品 30個セット」が掲載されています。
ただし、これは特定のモデル世帯を前提とした備蓄例です。「防災では生理用品を30個備えればよい」という個人向けの一律基準ではありません。
生理用品の必要数は、経血量、周期、使う種類、交換回数によって変わります。30個という数字をそのまま自分に当てはめるより、前回の1周期で実際に使った昼用・夜用・ショーツ型の内訳を数えるほうが、自分向けの備蓄量を決めやすくなります。
「東京くらし防災」の「少なくとももう1周期分のストック」という考え方も、固定の個数ではなく、自分の普段の使用量に置き換えて考えるのがポイントです。
使用後の処理まで考えて、防臭袋を別に備える
断水時や避難生活では、使用後の生理用品をすぐ普段どおりに捨てられるとは限りません。
東京都の「東京くらし防災」では、発災後に水洗トイレが使えなくなるなど、臭いに悩まされることを想定し、消臭袋や消臭スプレーの用意を案内しています。
日本衛生材料工業連合会「ナプキンについて」処理方法では、使用済みナプキンは経血吸収面を内側にして丸め、個別ラップに包んで捨てること、トイレには流さないことが案内されています。ナプキンに使われている素材は一般的に水に溶けず、トイレの配水管を詰まらせたり、浄化槽の故障の原因となるおそれがあるためです。最終的なごみの分別方法は、避難先や自治体の案内に従います。
持ち出し用の処理袋を小さく分けるなら|臭わない袋BOS サニタリー用 SSサイズ 5枚入り
クリロン化成の「臭わない袋BOS サニタリー用 SSサイズ 5枚入り」は、サニタリー用途の防臭袋で、SSサイズは17cm×27cmです。メーカーは5枚入りを「持ち運びに便利な少量パック」と案内しています。
生理用品の備蓄数と防臭袋の枚数を、必ず1対1にする必要はありません。どこで交換するか、使用済み用品をどのようにまとめるかによって、必要な袋数は変わります。
持ち出し用には少量の防臭袋を分けておき、在宅用には自宅でのごみ保管方法も含めて別に準備します。このように役割を分けると管理しやすくなります。
普段使わない種類を「防災用だけ」で増やさない
防災用品というと、普段とは違う特別なものを用意したくなります。しかし、生理用品はサイズや形状、厚さ、交換方法などが異なります。
日本衛生材料工業連合会も、ナプキンは経血量や昼夜、サイズ、厚さなどから自分に合うものを選ぶ考え方を示しています。そのため、備蓄の中心は「非常時に便利そうな商品」より、普段から使っている種類に置くほうが分かりやすくなります。
コンパクトタイプ、長い夜用、ショーツ型などを追加する場合も、「自分が普段の1周期で本当に使うか」を基準にします。防災用として買ったまま長期間触らずにおくより、日常で使いながら補充できる商品のほうが、入れ替えもしやすくなります。
個包装でも、そのまま長期間バッグに入れっぱなしにしない
個別包装された生理用品でも、外側の包装が完全な密封とは限りません。
花王の「【保管方法】生理用ナプキンやパンティライナーなどの個別包装を携帯する時に気をつけることは?」では、個別包装のまま直接バッグへ入れず、ナプキン専用のポーチやビニール袋に入れて携帯することを案内しています。
また、「【保管方法】生理用ナプキン・パンティライナー・吸水ケア品の保管方法は?」では、ほこり・湿気・直射日光などを避け、開封後も衛生的に保管するよう案内しています。
非常持ち出し袋に入れた生理用品も、「入れたから完了」ではありません。普段使いの補充と一緒に、定期的に中身を確認しておくと管理しやすくなります。
ローリングストックは「1周期終わったら数える」と続けやすい
備蓄量を毎回ゼロから計算する必要はありません。1周期分を実際に使ったタイミングで種類ごとの個数を一度数えておけば、次回から補充しやすくなります。
たとえば、次の流れです。
- 1周期で使った昼用・夜用・ショーツ型などを種類別に数える
- 同じ内訳でもう1周期分を予備として確保する
- 日常で予備を使ったら、その分を買い足して元の量に戻す
- 非常持ち出し袋に分けた分も、定期的に入れ替える
これは「全員が同じ枚数を備える」方法ではなく、自分の普段の使い方そのものを備蓄の基準にする方法です。「昼用が減った」「夜用だけ足りない」と種類別に見られるため、必要なものだけを補充しやすくなります。
まとめ|「○日分」ではなく、普段の1周期の内訳をもう1セット
防災用の生理用品は、「3日分なら○枚」「7日分なら○枚」と一律の枚数から決める必要はありません。
まず、普段の1周期で使う昼用・夜用・ショーツ型などを種類別に数えます。その内訳をもう1周期分ストックし、非常持ち出し袋には普段の1日分を単位に、避難先や持ち出せる量に合わせて必要分を分けます。
持ち出しやすさを重視するならコンパクトな昼用、夜用を普段使うなら必要な長さの夜用、ショーツ型を普段使うなら自分に合うサイズを備えます。種類ごとの役割も分けて考えると選びやすくなります。さらに、使用後の生理用品を処理する防臭袋も別に用意しておけば、交換後まで含めた備えになります。
「防災用に何枚買うか」ではなく、「普段の1周期で何を何個使っているか」を確認することが、自分に合う備蓄量を決める出発点です。
