防災セットは、中身の点数が多いほど安心できる気がします。ですが、避難のときはそのリュックを自分で背負って歩く必要があります。「女性向け」と書かれているかどうかより先に、実際に持って移動できる重さかどうかを確認しておくことが大切です。
この記事では、女性向けとして販売されているセットに限定せず、防災リュックを重さと中身の両面から比較します。
女性向け防災リュックは「女性用」より重さと中身で選ぶ
「女性なら○kgまで」という基準は、今回確認した消防庁・内閣府の一次情報には記載がありませんでした。
持てる重さは、体格や体力、年齢、健康状態、避難時に階段があるかどうか、子どもやペットと一緒に避難するかどうかなど、人によって大きく変わるためです。
大切なのは、パッケージの「女性向け」という表示ではなく、セットの重量と、自分にとって不足している用品を把握したうえで、実際に背負って確認することです。

参考として、東大阪市「非常持出品の準備」がページ上で示している目安では「男性15kg程度まで、女性10kg程度まで」とされています。これはセット単体の重量ではなく、常備薬や個人用品を追加したあとの、避難時に実際に背負う荷物全体の重さについての目安です。そのため、この目安を参考にする場合も、セット本体の重量だけでなく、自分が追加するものまで含めた最終的な重さで考える必要があります。
ただし、これは東大阪市がページ上で紹介している目安であり、体格や体力によって適切な重さは変わるため、この記事では一律の基準としては扱いません。
防災リュックの重さは「買ったとき」だけでは判断できない
防災セットの商品ページには「セット重量○kg」と書かれていますが、この数字がそのまま避難時の重さになるとは限りません。人によっては、以下のようなものを追加する必要があるからです。
- 常備薬やお薬手帳のコピー
- 眼鏡・コンタクト用品
- モバイルバッテリーや充電ケーブル(セットに充電機能付きライト等が含まれる場合は不要なこともあります)
- 個人の衛生用品(生理用品、化粧品など、必要な人のみ)
「セット重量+自分が追加するもの=実際に持ち出す重さ」という順番で考える必要があります。ここで注意したいのは、3日分の家庭備蓄用の水や食料をすべてリュックに詰め込む必要はないということです。持ち出し用のリュックと、自宅に置いておく備蓄品は分けて考えます。

ここから、実際のセットを同じ考え方で比較していきます。
一人暮らしで、リュックに何を入れるべきかを最低限の備えから確認したい方は、『一人暮らしの防災グッズは最低限何が必要?最初にそろえたい備え』も参考にしてください。

防災リュックを重くしやすい「あとから足すもの」を先に確認する
市販の防災セットは、そのままの状態で完結しているとは限りません。購入後に自分で追加する可能性が高いものを、あらかじめ把握しておくと、「思っていたより重くなった」という失敗を避けやすくなります。

- セットに含まれていない、または量が少ない水・食料
- 常備薬・お薬手帳のコピー・眼鏡やコンタクト用品
- 生理用品や下着など、必要な人が自分用として追加する衛生用品
- モバイルバッテリー・充電ケーブル(セット内のライトに充電機能がある場合は優先度が下がることもあります)
内閣府男女共同参画局「災害対応力を強化する女性の視点」では、女性用品・衛生用品についてローリングストック(普段から少し多めに買い、消費した分だけ買い足す方法)や非常時持ち出し袋への準備を、住民への啓発を通じて促すことが望ましいとされています。
この記事でも、生理用品や下着といった衛生用品は「市販セットに入っているかどうか」ではなく、必要な人が自分の使用量に合わせて追加するものという位置づけで扱います。「女性向け」という理由だけで特定の用品を必須扱いにする必要はありません。
防災リュックを重さと中身で比較
今回は、楽天市場で購入でき、メーカー公式または公式販売店で重量・仕様を確認できた3セットを比較しました。
先に押さえておきたいのは、3セットの重量は同じ条件で測られた数字ではないという点です。ラピタとアイリスオーヤマのセットは水・食料を含んだ状態の重量ですが、山善のセットには水・食料が含まれていません。そのため、「セット重量が軽い=必要な物を入れたあとも軽い」とは限りません。山善は、水や食料を自分で追加した時点で、他の2セットとの重量差が縮まる可能性があります。この点を踏まえたうえで、以下の比較表を見てください。
3セットの重さと主な違い
| セット名 | セット重量(目安) | リュック容量 | 水・食料 | 簡易トイレ | 照明・情報・電源 | 衛生・プライバシー | 追加を検討するもの |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ラピタ プレミアム 1人用(LA・PITA) | 約5.3kg(水・食料込み) | 約24L | 長期保存水500ml×4、非常食×3(もっちりつや炊きおにぎり/アルファ米の選択式) | トイレONE 3枚入(1枚あたり2〜3回分) | 多機能ダイナモラジオライト(スマートフォン充電機能付き)、防滴調光ランタン | 目かくしポンチョ、マスク等 | 常備薬、眼鏡など必要な個人用品、生理用品等 |
| 女性向け防災セット 1人用50点(アイリスオーヤマ) | 約5.7kg(水・食料込み) | 約16L(収納重量目安6kgまで) | アルファ化米6食(白米2食、わかめ・きのこ・ドライカレー・五目御飯各1食)+レトルト2食(肉じゃが・筑前煮各1食)、保存水500ml×3 | 携帯トイレ3個 | 懐中電灯ランタン、乾電池式携帯充電器 | 生理用ナプキン15枚、下着、メイク落としシート、ヘアブラシ等 | 常備薬、眼鏡など必要な個人用品 |
| 防災バッグ30点セット YBG-30(山善・通常18Lタイプ) | 約1.97kg(水・食料なし) | 約18L | なし | 携帯トイレ3個 | 懐中電灯(乾電池別売) | マスク3枚、綿棒20本、歯ブラシ3本等 | 水、食料、ラジオ、電池・充電手段等 |
食料・水の量や生理用品の有無、セット構成は、商品ロットや販売時期によって変更される可能性があります。購入前に商品ページで最新の内容をご確認ください。
ラピタ プレミアム 1人用(LA・PITA)|水・食料・情報収集をひとまとめで備えたい人向け
メーカー公式の販売ページでは、セット総重量は約5.3kg、リュック本体は約800g・容量24L(高さ46×幅33×奥行16cm)とされています。長期保存水500ml×4本と、非常食(もっちりつや炊きおにぎりまたはアルファ米の選択式)×3があらかじめ入っているため、水・食料を自分で買い足す手間は比較的少なくなります。情報収集用の多機能ダイナモラジオライト(スマートフォン充電機能付き)や防滴調光ランタン、簡易トイレ(トイレONE 3枚入、1枚あたり2〜3回分の吸収量)なども含まれています。
一方で、5kgを超えるセット重量は軽いとは言えません。常備薬や眼鏡など個人的に必要なものを追加すると、実際に背負う重さはさらに増えます。どの程度の追加余地があるかは商品ページからは明確でないため、到着後に実際の収納状況を確認することをおすすめします。「水・食料まで含めて備えたい人」には向きますが、軽さを最優先したい人には重く感じられる可能性があります。
女性向け防災セット 1人用50点(アイリスオーヤマ)|衛生用品・身だしなみ用品を重視したい人向け
メーカー公式の仕様表では、商品重量は約5.7kg、リュック容量は約16L、収納重量の目安は6kgまでとされています。生理用ナプキン15枚、下着、メイク落としシートといったエチケット用品や、目隠しポンチョが最初から含まれている点が特徴です。食料はアルファ化米6食(白米2食、わかめ御飯・きのこ御飯・ドライカレー・五目御飯各1食)とレトルト2食(肉じゃが・筑前煮各1食)、保存水500ml×3本が入っています。
なお、公式ページに記載された「商品重量約5.7kg」と「収納重量目安6kgまで」が同じ基準で比較できるかどうかは、公式ページの記載だけでは判断できません。そのため、この記事では「余地がどれだけあるか」を断定せず、実際にどれだけ追加できるかは商品到着後に確認することをおすすめします。「生理用品や身だしなみ用品を自分で選んで追加する手間を減らしたい人」には合いますが、リュック容量は今回の3商品の中で最も小さい16Lである点は、購入前に把握しておくとよいでしょう。
防災バッグ30点セット YBG-30(山善・通常18Lタイプ)|まず軽さを優先し、自分で中身を組み立てたい人向け
メーカー公式サイトでは、総重量は約1.97kg、リュックサイズは幅32×奥行16×高さ43cm(通常18Lタイプ)とされています。今回比較した3商品の中で最も軽量です。
携帯トイレ3個、レインポンチョ、非常用給水バッグ、アルミブランケット、エア枕などが入っていますが、
懐中電灯は入っていますが、電池は別売りです。
これは欠点というより、「軽さを優先し、水・食料を含めた中身は自分で組み立てる」という性格の商品と捉えるほうが実態に近いでしょう。水や食料を追加すれば、他の2商品との重量差は当然縮まります。追加後の重量は、何をどれだけ足すかによって変わるため、ここでは一律の数値を示しません。購入後に、自分が追加したい水や食料の重量を実際に量ってみることをおすすめします。
3商品はどう選び分ける?
- 水・食料まで含めた状態を優先したい人→ラピタ プレミアム 1人用
- 食料・水に加えて、生理用品や身だしなみ用品もまとめて備えたい人→女性向け防災セット 1人用50点(アイリスオーヤマ)
- まず軽い状態から持ち、水・食料を含めて自分で中身を組み立てたい人→防災バッグ30点セット YBG-30(山善)
防災リュックが重いと感じたときはどう見直す?
すでに防災リュックを持っている場合、「重い」と感じたときにまず考えたいのは、重要なものを減らすことではありません。以下の順番で見直してみてください。
- 同じ役割の物が重複していないか(絆創膏と救急セットなど)
- 自宅備蓄用の水や食料が、持ち出し用リュックに混ざっていないか
- 避難直後に本当に必要な物かどうか
- 個人用品を追加したあとの最終重量で、実際に持てるかどうか
「○○を全部捨てれば軽くなる」という単純な話ではなく、持ち出し用と備蓄用を分ける、重複を整理するという視点で見直すと、必要なものを削らずに重さを調整できることがあります。
まとめ
防災リュックは、商品点数の多さや「女性向け」という名称ではなく、メーカーが示す実重量と、自分にとって不足する用品を確認したうえで、実際に持って移動できる状態にすることが重要です。
今回比較した3商品も、重量の数字だけを見ると山善が圧倒的に軽く見えますが、これは水・食料を含むかどうかの違いによるものです。水・食料まで備えたいか、衛生用品を重視したいか、まず軽さを優先して自分で中身を組み立てたいかによって、向く人が変わります。購入前には、商品ページで最新の重量・セット内容を確認したうえで、自分の生活状況に合わせて判断してください。
