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防災グッズの置き場所がない人へ|狭い部屋で3日・7日分を収納する考え方

防災グッズを備えたいけれど、部屋が狭くて置き場所がない――そう感じている人は少なくありません。

ですが答えは、大きな収納場所を探すことでも、備蓄をあきらめることでもありません。持ち出し用・在宅備蓄・日常のローリングストックに分け、部屋の中にある複数の空きスペースへ分散して置く。まずは3日分の置き場所を無理なく作り、そこから7日分へ広げていく。収納ケースを買うのは、それを決めたあとで構いません。

狭い部屋でも、備蓄を役割ごとに分ければ、今ある収納の中から置き場所を見つけやすくなります。

目次

防災グッズは「1か所にまとめる」より分散して置く

防災グッズはひとまとめにして押し入れの奥にしまう、という発想を持つ人は少なくありません。ですが農林水産省「防災備蓄収納のチェックポイント」では、1か所に納めようとせず分散することで収納できるとし、分散しておくことで、万一その場所に近づけない状況になっても一時的にしのげるメリットがあるとしています。分散の例として、1か所は玄関など外へ通じる場所の近くに、もう1か所はクローゼットの隙間や廊下収納などに、という考え方が示されています。

つまり、狭い部屋でまず見直したいのは、大きな収納スペースの有無より、備蓄を分けて置くという発想です。ワンルームであっても、玄関脇・クローゼット・ベッド下・キッチンといった複数の場所に少しずつ分けることを前提にすれば、置き場所の探し方そのものが変わってきます。

最初に「持ち出し用・在宅備蓄・ローリングストック」を分ける

置き場所を考える前に、まず備蓄そのものを役割ごとに分けます。

  • 持ち出し用:避難する際にすぐ持って出る物
  • 在宅備蓄:自宅で過ごすための水・食品・簡易トイレなど
  • ローリングストック:普段から使いながら備える食品・日用品

農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(2)」では、備蓄食品を主に災害時に使用する非常食と、日常でも使いながら備えるローリングストック用の食品に分けて考える方法が紹介されています。ローリングストックは、普段の食品を少し多めに買い置きし、賞味期限の近いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭にある状態を保つ方法です。買い置きのスペースを少し増やすだけで始められる点が特徴です。

この3分類ができていないと、防災リュックに水も食品も簡易トイレも詰め込もうとして、リュック自体が収納庫のように膨れ上がってしまいます。防災リュックは持ち出し用の一部を運ぶための道具であって、備蓄全体をしまう収納庫ではありません。役割で分けてから、それぞれに合う置き場所を考えます。

持ち出し用・在宅備蓄・ローリングストックの3分類を示す図。

狭い部屋ではキッチンだけでなく「隙間」を収納場所にする

では、どの場所に何を置けばよいか、目安を整理します。

置き場所候補向く物の考え方注意点取り出しやすさの考え方
玄関近く持ち出し用通路を塞がないすぐ持ち出せる位置
クローゼット等の下段水等の重い備蓄・在宅備蓄候補上段へ重い物を置かない災害時に取り出せる位置
ベッド下・家具の隙間保存条件を満たせる食品等の候補奥へ詰め込みすぎない取り出せる位置
キッチン・食品収納日常食品のローリングストック消費と補充を回す普段から使う

玄関近くは持ち出し用、下段は重い在宅備蓄、ベッド下などの隙間は保存条件を満たせる備蓄、キッチンはローリングストックというように、置き場所ごとに役割を分けて考えます。

「食品なのだからキッチン周りに置くべきだ」という思い込みも、狭い部屋では備蓄を難しくしがちです。農林水産省「単身者向け収納テクニック」では、食品だからといってキッチンやダイニングの近くに収納する必要はなく、賞味期限にまだ余裕のある食品はクローゼットの隙間やベッドの下などを活用してよいとされています。また、収納としても使える家具を選べば、狭い部屋でも食品をストックする場所を確保でき、頑丈な収納ケースであればクッションを載せて椅子代わりに使うこともできるとしています。

備蓄食品はキッチンだけに置く必要はありません。保存条件を満たせる場所なら、クローゼットの隙間やベッド下なども収納候補になります。すでに食品収納にあまり余裕がない部屋であっても、日常で使う食品はこれまで通りキッチンでローリングストックとして回しつつ、災害時専用に確保しておきたい分については、保存条件を満たせる範囲でクローゼットの隙間やベッド下などキッチン以外の空きスペースへ分けられます。キッチンに入りきらない量が、そのまま備蓄できない量になるわけではありません。

一人暮らしのワンルームで、大きな収納庫が特にない場合を考える

玄関近くを持ち出し用、クローゼットの下段を重い在宅備蓄、キッチンの棚を普段のローリングストック、ベッド下などの空きスペースを保存条件を満たせる非常食の候補にする、という分け方ができます。

たとえば3日分の置き場所を考えるなら、玄関近く・クローゼット下段・キッチン・ベッド下などを候補にし、自分の部屋で実際に使える場所へ分けていきます。

量を増やすときは同じ分類を崩さず、別の空きスペースへ追加していけばよく、7日分を一度に1か所へ詰め込む必要はありません。

水・コンロなど重い物は空いていても上段へ置かない

「上段が空いているから、そこに水やカセットコンロを置こう」という判断は、収納スペースの効率だけを見ると自然に思えます。ですが同じチェックポイントでは、コンロや水などの重い物、割れやすい物は下段に入れるべきで、天袋や吊戸棚などの上段は避けるべきだとされています。あわせて、高齢者がいる家庭では危険が増すため、天袋収納そのものを日頃から避けることも挙げられています。

判断の軸は「収納スペースが空いているかどうか」ではなく「重さと、落下したときの安全性」です。これとは別に、同じ単身者向け収納テクニックでは、カセットコンロについてケースに入れて立てて収納すると省スペースになり、カセットボンベも同じ場所にまとめておくとよいとされています。

あわせて、災害時に上から落ちてけがをしないよう、低い位置に収納する考え方も示されています。天袋が空いているという理由だけで、重い備蓄をそこへ動かす判断は見直したほうがよさそうです。

非常時に使う物は収納の一番奥へ追いやらない

非常用品は普段使わないのだから、収納の一番奥や見えない場所にしまっておけばよい、と考える人もいます。ですが同じチェックポイントでは、災害時に使う物をめったに使わないからといって天袋や収納庫の奥に押し込まず、「第2ポジション」に置くべきだとしています。ここでいう第1ポジションは、腰の高さ程度にある収納の手前側など、最も取り出しやすい場所を指します。第2ポジションは、同じく腰の高さ程度にある収納の奥側や、下段の収納の手前側など、2番目に取り出しやすい場所です。

つまり、日常収納の一等地をすべて防災グッズに譲る必要はありませんが、腕を伸ばしても届かないような奥や、踏み台がないと出せない高さまで追いやってしまうと、災害時に取り出せなくなります。普段の生活動線からわずかにずれた、けれど手が届く場所に置く、という中間の距離感が現実的です。

3日分の配置を作ってから7日分へ広げる

内閣府「自然災害への備えは万全ですか?チェックしてみよう!」では、各家庭で最低3日間、できれば1週間程度の飲料水・食料の備蓄を挙げており、水についてはおよそ1人1日3リットルが目安とされています。農林水産省「知って備える 家庭備蓄のイロハ」でも、同様に3日分から1週間分の備蓄を望ましいとしています。

まず3日分の置き場所から始める

農林水産省「災害時にそなえる食品ストックガイド 単身者向け」では、公的な支援物資が届き始めるのは災害発生から4日目以降になりうるとしたうえで、まずは3日分を試しにストックし、目標を1週間分としながら自宅の収納と相談して増やしていく考え方が紹介されています。

最初から1週間分を1か所に収納できなくても、3日分の置き場所を作り、普段の食品を少し多めに持ちながら別の空き場所へ追加していけば、備蓄は段階的に増やせます。

3日分・7日分は、必要量だけでなく、収納を段階的に増やす目安として考えることもできます。手順は次の通りです。

  1. まず3日分について、持ち出し用・在宅備蓄・ローリングストックの分類ごとに置き場所を決める
  2. その分類の形を崩さないまま、別の空きスペースを使って7日分へ広げる
  3. 非常食専用のスペースだけでなく、日常のローリングストックも備蓄の一部として数える
3日分の配置から7日分へ段階的に広げる手順を示す図。

保存水を何本用意すればよいか、500mLと2Lをどう使い分けるかといった具体的な本数の計算は、『一人暮らしの保存水は何本必要?3日分・7日分を500mL・2Lで計算』で確認できます。

非常食の食数についても、3日分・7日分でそれぞれ何食が目安になるかは『一人暮らしの非常食は何食必要?3日分・7日分の量からセットを選ぶ』にまとめています。

簡易トイレの回数についても、『簡易トイレは何回分必要?1人・2人・4人家族の3日・7日分を計算』で人数別の目安を確認できます。

こうした数量計算を繰り返す代わりに、置き場所をどう増やしていくかを中心に考えます。

収納場所を決めてから必要なら収納用品を足す

収納ケースをまず買ってから、そこに何を入れるか考える、という順番で進めると、サイズが合わなかったり、重い物を上段に置く配置になってしまったりすることがあります。順番を逆にし、次のように進めます。

  1. 備蓄を持ち出し用・在宅備蓄・ローリングストックに分類する
  2. 玄関近く、クローゼットの下段、ベッド下、キッチンなど、部屋の空きスペースの高さと奥行きを確認する
  3. 何をどこへ置くか、重い物は下段という考え方に沿って決める
  4. その配置に合うサイズの収納用品が必要であれば、最後に選ぶ
収納ケースを先に買おうとしていた場合を考える

まず備蓄品を持ち出し用・在宅備蓄・ローリングストックに分け、部屋のどこに何センチ四方の空きがあるかを確認します。

水などの重い物は下段を優先して場所を決め、そのうえで空きスペースの形に合う収納ケースが必要かどうかを判断します。

先に置き場所を決めておけば、サイズが合わない収納用品を買わずに済みます。

まとめ

大きな収納場所がなければ、複数の隙間へ分散して置きます。キッチンがいっぱいであれば、保存条件を確認したうえで他の空きスペースも候補にします。上段しか空いていない場合は、水やコンロなど重い物を優先して下段へ置く場所を探します。

7日分が一度に入らない場合は、3日分の配置から始め、分散とローリングストックを組み合わせて量を増やしていきます。収納用品を買うかどうか迷ったときは、先に置き場所と備蓄品の分類を決めてから選びます。

狭い部屋でも、1か所にまとめず役割ごとに分ければ、自分の部屋に合う備蓄の置き方を作れます。

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この記事を書いた人

防災用品を、住まい・人数・困りごと・予算などの条件から比較しています。官公庁・メーカー公式情報などの一次情報を重視しています。

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