子ども用防災リュックは、「子ども用」と書かれているだけでは選べません。
今回比べる3セットには、リュック本体を含めて約0.7kgで済む構成と、水・食品・寝具まで入って約3.2kgになる構成があり、見るべきは「今の重さ」と「あとで何を足すか」です。
そのうえで、必要な物を入れた状態で、最後は子ども本人が実際に背負えるかを確かめます。ここから、3セットを重さ・中身で比べていきましょう。
子ども用でも約0.7kg〜3.2kg|セット重量は4倍以上違う
まず確認したいのは、今回比較する3セットとも「子ども用」「キッズ」として売られているのに、セット全体の重さがそろっていないことです。
- ゼニス「CBS-60N」:約700g
- ゼニス「CBS-80N」:約890g
- LA・PITA「SHELTER KIDS」:約3.2kg
最も軽いCBS-60Nと最も重いSHELTER KIDSでは、約4.6倍の差があります。同じ「子ども用防災セット」という名前でも、パッケージに何を詰めるかでここまで変わります。

だからといって、重いセットが失敗というわけではありません。重さの差には、水・食品・寝具など、セット内容の違いがあります。重さだけで良し悪しを決めず、何が入っているかまで確認します。
軽いセットは水・食品が入っていない|重さと中身を一緒に見る
SHELTER KIDSには、長期保存水500ml×2本、保存食のパンやキャンディといった食品まで入っています。総重量が重くなっているのは、この水・食品分と、ブランケットやエアーマットなどの寝具・避難生活用品を含んでいるためです。
一方、CBS-80NとCBS-60Nには、水・食品が含まれていません。その代わりに軽く仕上がっており、ホイッスルや反射材、携帯トイレといった基本用品が中心の構成です。
つまり、「軽い=優秀」でも「重い=子どもには不向き」でもありません。軽いセットを選ぶなら、水・食品をどこで補うかを別に考える必要がありますし、重いセットを選ぶなら、その重さを子ども本人が背負えるかを先に確認する必要があります。
3セットは「セット重量」と「足す物」で比べる
ここまでの内容を、価格・重量・サイズ・水・食品の有無・背負うための仕様でまとめます。まず重量とサイズ、次に水・食品の有無、最後に背負うための仕様と主な不足点の順に見てください。
| セット名 | 楽天市場価格 | 重量・サイズ | 水・食品 | 背負うための仕様 | 主な不足・注意 |
|---|---|---|---|---|---|
| SHELTER KIDS | 7,780円 | 約3.2kg/リュック単体約390g、H38×W24×D12cm(容量約10L、リュック単体の寸法) | 長期保存水500ml×2本、保存食(パン・キャンディ)あり | 肩幅広ベルト、チェストベルト(バックルがホイッスルを兼ねる) | 対象年齢・身長の記載なし。3セット中もっとも重い |
| CBS-80N | 8,800円(法人向け送料無料、個人宅配送は別途送料が掛かる) | 約890g/メーカー表記の商品サイズ200×300×250mm(リュック単体の寸法かは確認できず) | 含まれない | ホイッスル、反射リストバンド・反射シール、防犯ブザーライト(電池付属) | 水・食品は別途用意が必要。対象年齢・身長・リュック単体寸法の記載なし |
| CBS-60N | 6,600円(法人向け送料無料、個人宅配送は別途送料が掛かる) | 約700g/メーカー表記の商品サイズ200×300×250mm(リュック単体の寸法かは確認できず) | 含まれない | ホイッスル、反射リストバンド・反射シール | 水・食品に加え、防犯ブザーライトや防寒アルミシートも入っていない |
価格は楽天市場で確認した税込価格です。価格・在庫・送料は変わるため、購入前に商品ページで確認してください。とくにCBS-80N・CBS-60Nは法人向けの送料無料表示であり、個人のご自宅へ配送する場合は別途送料が必要です。金額は商品ページの記載に基づくため、購入前に配送条件を必ず確認してください。
表からわかるのは、最も軽いCBS-60Nは基本的な安全用品だけの構成で、CBS-80Nはそこに防犯ブザーライトと防寒アルミシートが加わった分だけ重く、SHELTER KIDSは水・食品・寝具まで含めて、重さとともに含まれる備品の範囲も広がっている、という積み上げの違いです。どれか一つが優れているのではなく、何を最初から入れておき、何をあとで足すかが違うと考えると整理しやすくなります。
SHELTER KIDS|約3.2kgだが、水・食品・寝具まで入る
SHELTER KIDSには、水・食品・寝具まで最初から入っています。リュックは肩幅広ベルトに加え、走ったときも安定するチェストベルトを備え、そのバックルがホイッスルを兼ねる仕様です。
総重量は約3.2kgと3セット中もっとも重く、対象年齢・対象身長の記載はメーカー公式ページに見当たりません。子どもの体格によっては重く感じる可能性があるため、実際に背負わせて確認することをおすすめします。
このセットは、水・食品まで含めて一つにまとめたい家庭や、あとから買い足す手間を減らしたい家庭に向きます。反対に、子どもがまだ小柄で3kg台の荷物を負担に感じる場合は、中身を見直して軽くする、または保護者側に一部を移す判断も必要になります。
CBS-80N|1kg未満で反射材・防犯ブザーまで入る
約890gと1kgを切る軽さで、ホイッスル、反射リストバンド、反射シールに加えて、電池付きの防犯ブザーライトや防寒アルミシート、長期保存ボディタオルまで含まれています。夜間の視認性や防犯面の用品が中心です。
水・食品はセット内容に含まれていません。避難時にすぐ飲食できる物を持たせたい場合は、別に用意して追加する前提で考える必要があります。
軽さを優先しつつ、反射材や防犯ブザーライトも入れておきたい場合に候補になります。ただし、水・食品を子どものリュックに追加すれば、その分だけ重量は増えます。保護者側で持つかも含めて考える必要があります。
なお、この価格は法人向けの送料無料表示です。個人のご自宅へ配送する場合は別途送料が必要になるため、購入前に商品ページで配送条件を確認してください。
個人宅配送の場合は送料が別途必要。
CBS-60N|約700gで基本用品に絞った構成
CBS-80Nとメーカー表記の商品サイズは同じ200×300×250mmですが、内容物が少ない分、重量は約700gとさらに軽くなっています。ホイッスル、反射リストバンド、反射シール、携帯トイレ、子供用軍手などの基本用品が中心です。
水・食品に加え、CBS-80Nにある防犯ブザーライトや防寒アルミシート、長期保存ボディタオルも入っていません。商品サイズが同じでも、中身によって重さと備品の範囲が変わることが、この2セットの比較からわかります。
とにかく軽さを優先したい場合や、防犯用品・防寒用品を家庭ですでに用意している場合に向きます。反対に、これ一つで完結させたい家庭には物足りない可能性があります。
こちらも価格は法人向け送料無料の表示で、個人のご自宅へ配送する場合は別途送料が必要です。
個人宅配送の場合は送料が別途必要。
サイズ表記の対象がそろっていない|寸法だけで「背負える」とは決められない
SHELTER KIDSのリュックは高さ38×幅24×マチ12cm・容量約10L、単体重量は約390gとメーカー公式に明記されています。これはリュック単体の寸法です。肩幅広ベルトとクッション、チェストベルトを備え、反射材(リフレクター)も採用されています。
CBS-80N・CBS-60Nは、メーカー公式に「商品サイズ200×300×250mm」という記載がありますが、リュック単体の寸法かどうかは確認できません。容量や対象年齢・対象身長の記載も見当たりませんでした。同じ「サイズ」という言葉でも、3セットで比較の対象がそろっているとは限らないため、数字だけで比較することはできません。
寸法や重量の数字だけで「小学生なら背負える」と判断するのではなく、実際に持たせてみて、肩ベルトの位置や重さの感じ方を子ども自身に確認してもらうことが確実です。
政府広報の「こども約6kg」は、1人ずつの安全上限ではない
政府広報オンライン「防災特集 ACTION01 災害に事前に備える」には、非常用持ち出し袋で持ち出せる量の目安として、成年男性で約15kg、成年女性で約10kg、こども・高齢者で約6kgを想定しておく、という記載があります(政府広報オンライン)。
ここで注意したいのは、この約6kgは、年齢や体格ごとに細かく分けた安全基準ではないという点です。「こども」という広い区分の中の想定値であり、「6kg以下なら安全」「小学生は6kgまで持てる」と読み替えられる数字ではありません。少なくとも、この資料は低学年・高学年や体格ごとの安全上限を示したものではありません。
東京防災2023にも、非常用持ち出し袋について「避難した際、当面必要となる最小限の物を納めた袋」であり、「中身は、それぞれ自分にとって必要な物を考え、準備することが重要」だという説明があります(東京防災2023)。公的資料は、特定のセットや重量を推奨しているわけではなく、「自分にとって必要な物を、自分で考えて備える」という考え方を示しているものと位置づけて読むのが適切です。
軽いセットには水・食品が入っていないため、子どもの着替えや個人用品と合わせて、あとから何を追加するかを考える必要があります。
追加した後の重さは家庭ごとに違うため、セット単体の重量だけで判断せず、実際に持たせる物を入れた状態で、無理のない範囲で背負ったり歩いたりして確認してください。
子どもの体調や年齢、体格に合わせて調整することも忘れないでください。
家族で一緒に避難するなら、持ち物は分けてよい
ここまでの比較でわかるのは、軽いセットにはCBS-60N・CBS-80Nのように水・食品が含まれておらず、重いセットにはSHELTER KIDSのように最初から水・食品・寝具まで含まれている、という違いでした。この違いを埋める方法は、子どもの袋にすべてを詰め込むことだけではありません。
家族で一緒に避難する前提なら、水や食品、防寒用品といった重さの出やすい物は、保護者が持つ分でまとめて備え、子ども本人のリュックには、ホイッスルや反射材、簡単な着替えなど、子ども自身がすぐ使う可能性が高い物を中心にする、という分担も選べます。子どもの体格は成長とともに変わるため、リュックの中身も一度決めたら終わりにせず、学年が上がるタイミングなどで見直すとよいでしょう。
まとめ|子ども用は「今の重さ+足す物」で選ぶ
子ども用防災リュックは、セット重量だけでも、点数だけでも選べません。今回の3セットでは、CBS-60N・CBS-80Nのように1kg未満で軽い一方、水・食品が入っていない構成と、SHELTER KIDSのように水・食品・寝具まで含めて約3.2kgになる構成があり、どちらが優れているという話ではありませんでした。
セットに最初から入っている重さと、あとから足す物を考えた後の重さの両方を見たうえで、最終的には子ども本人が実際に背負って歩けるかを確かめてください。政府広報の「こども約6kg」もあくまで目安であり、個々の子どもの安全上限として使う数字ではありません。子どもの袋だけで家庭全体の備えを完結させず、保護者側で持つ物と分担しながら、家族で内容を確認していくことをおすすめします。
