夏の停電に備えて充電式扇風機を選ぶとき、「風が強そう」「バッテリーが大きそう」だけで決めると、停電時に使いたい場所や時間と合わないことがあります。
同じ充電式でも、部屋に据え置くサーキュレーター、棚や机に固定できるクリップファン、折りたたんで卓上や首掛けでも使える小型ファンでは、向いている使い方が違います。
夏の停電用なら、まず「どこで誰に風を当てるか」を決め、その置き方で使える製品の連続使用時間を確認すると選びやすくなります。
夏の停電用は「最大風量」より、どこで何時間使うかを先に決める
厚生労働省の「災害時における健康管理」では、災害時には避難所の気温上昇や暑い中での片付け作業などで、特に熱中症への注意が必要だと案内しています。停電などで扇風機やエアコンが使えない場合は、水分・塩分補給や衣服の工夫なども含めた予防を呼びかけています。
環境省の「熱中症特別警戒情報とは」では、熱中症対策の基本は涼しい環境で過ごすこととしています。そのうえで、扇風機であおぐこと、体を冷やすこと、水分・塩分を補給することなどを挙げています。
充電式扇風機を用意していても、それだけで夏の停電対策が完結するわけではありません。暑さが厳しいときは、涼しい場所へ移ることや水分・塩分補給なども含めて考えます。
充電式扇風機を選ぶ順番は、次のように整理できます。
- 部屋に据え置いて使いたいのか
- 机・棚・ベッド周りなど近くで使いたいのか
- 手持ち・首掛け・卓上を切り替えたいのか
- その場所で何時間使いたいのか
- どの風量なら必要な時間をつなげられるのか
「最大何時間」だけを見るのではなく、その時間がどの風量・使い方の条件なのかまで確認します。

据え置き・3WAYクリップ・折りたたみの3タイプを比べる
今回は、夏の停電時の設置方法が重ならないよう、3タイプを1台ずつ比較します。
- 部屋に据え置いて使う:アイリスオーヤマ PCF-SD15CH
- 置く・はさむ・吊るす:無印良品 MJ-CLF1
- 手持ち・卓上・首掛け:BRUNO BDE072
この比較で見たいのは、「一番長く動く製品」ではありません。停電時に使う場所へ置けるか、その置き方で必要な時間を確保できるかを判断するための比較です。
まず、設置方法とサイズ感を見ます。
| モデル | 主な使い方 | 重量 | 設置・使い方の特徴 |
|---|---|---|---|
| アイリスオーヤマ PCF-SD15CH | 据え置き・卓上 | 約1.4kg | 左右自動首ふり |
| 無印良品 MJ-CLF1 | 置く・はさむ・吊るす | 約500g | 3WAY |
| BRUNO BDE072 | 手持ち・卓上・首掛け | 約140g | 折りたたみ・スタンド |
PCF-SD15CHは部屋に置いて使うサーキュレーターで、今回の3台では最も重い製品です。MJ-CLF1はクリップでの固定と吊り下げに対応しています。BDE072は折りたたみ式で、持ち方を変えられます。
次に、満充電からの連続使用時間を見ます。
| モデル | 長く使う側の公式目安 | 強く使う側の公式目安 | 充電時間 |
|---|---|---|---|
| アイリスオーヤマ PCF-SD15CH | 約50時間(風量1・首ふりなし) | 約3時間(ターボ・首ふりあり) | 約4時間 |
| 無印良品 MJ-CLF1 | 約19時間(風量1) | 約4時間(風量4) | 約3.5時間 |
| BRUNO BDE072 | 約9時間(風量1・ファンのみ) | 約2時間(風量4・ファンのみ) | 約3時間 |
条件が違うため、50時間・19時間・9時間という最大値だけで優劣は決めません。見たいのは、自分が想定する設置場所と風量で、停電中にどれだけ使い続けられるかです。
部屋で長く使いたいなら|アイリスオーヤマ PCF-SD15CH
アイリスオーヤマのPCF-SD15CHは、内蔵バッテリーを搭載したコードレスサーキュレーターです。メーカーは適用床面積の目安を20畳としています。
本体サイズは幅約21×奥行約21×高さ約31.8cm、重量は約1.4kgです。左右自動首ふりに対応し、風量は6段階です。
満充電時の最大運転時間は、風量1・首ふりなしで約50時間です。最小運転時間は、風量ターボ・首ふりありで約3時間です。
充電時間は約4時間で、5V3A出力に対応したUSBアダプターやモバイルバッテリーなどから給電できます。内蔵バッテリーはリチウムイオン2次電池で、容量は2,200mAh、定格電圧はDC14.8Vです。
停電中に部屋へ据え置き、少し離れた場所にも風を送りたい場合や、首ふりを使いたい場合に検討しやすいタイプです。
一方、約50時間は「風量1・首ふりなし」、約3時間は「ターボ・首ふりあり」という異なる条件での目安です。最長の50時間だけを見ず、実際に使いたい風量や首ふりの条件まで確認します。
ベッド周りや棚に固定したいなら|無印良品 MJ-CLF1
無印良品の置いても使える 充電式クリップファン MJ-CLF1は、置く・はさむ・吊るすの3WAYで使える充電式ファンです。
サイズは約幅156×奥行118×高さ178mm、重さは約500gです。クリップの裏側に吊り下げリングがあり、カラビナやロープを使った吊り下げにも対応します。
風量は4段階で、連続使用時間は次のとおりです。
- 風量1:約19時間
- 風量2:約8時間
- 風量3:約5時間
- 風量4:約4時間
充電時間はDC5V・2Aの条件で約3.5時間、給電はUSB Type-Cです。取扱説明書では、内蔵充電池はDC3.6V・4,000mAhとされています。
床やテーブルに置くスペースが取りにくい場所でも、クリップで固定できる場所があれば設置方法を変えられます。就寝場所の近く、棚、机など、「扇風機を置く場所」ではなく「風を当てたい場所」から設置方法を考えたい人は比べやすい製品です。
ただし、吊り下げにはメーカーが案内する方法があります。無印良品は、クリップ裏面の吊り下げリングにカラビナやロープを使う方法を案内しており、S字フックでの吊り下げは避けるよう注意しています。
折りたたんで持ち方を変えたいなら|BRUNO BDE072
BRUNOの6WAY冷却フォールディングファン BDE072は、折りたたみ式の充電ファンです。
本体は幅80×高さ163×奥行28mm、折りたたみ時は幅80×高さ85×奥行48mm、重量は約140gです。手持ち、卓上、付属ストラップを使った首掛けなど、使い方を変えられます。
ファンのみで使った場合の連続使用時間は、次のとおりです。
- 風量1(微弱):約9時間
- 風量2(弱):約4時間
- 風量3(中):約3時間
- 風量4(強):約2時間
充電時間は約3時間です。内蔵するリチウムポリマー蓄電池は3.7V・2,000mAhです。
1か所に置いたままではなく、キッチン、洗面所、寝る場所などへ持って移動したい場合や、机に置く・手に持つ・首から下げるを切り替えたい場合に、検討しやすいタイプです。
BDE072には冷却プレートやモバイルバッテリー機能もありますが、この記事で見るのは充電式ファンとしての使い方です。冷却プレートを使う場合の連続使用時間はファン単独とは条件が変わるため、約9時間という数字と混同しません。
連続使用時間は「最大何時間」より、使いたい風量で見る
充電式扇風機の仕様では、「最大50時間」「最大19時間」のような長い数字が目に入りやすくなります。
しかし、最長時間は弱い風量や首ふりなしなど、特定の条件で測定された数値です。
たとえば、夜10時に停電し、翌朝6時まで8時間使いたいと仮定します。
アイリスオーヤマのPCF-SD15CHは、風量1・首ふりなしなら約50時間という目安があります。一方、ターボ・首ふりありでは約3時間です。
無印良品のMJ-CLF1は、風量1なら約19時間、風量2なら約8時間です。仮定した8時間と公表値が同じなのは風量2で、風量3は約5時間、風量4は約4時間です。
BRUNOのBDE072はファンのみの場合、風量1なら約9時間です。風量2は約4時間、風量3は約3時間、風量4は約2時間です。
同じ「満充電」でも、選ぶ風量によって朝までつながるかどうかが変わります。何時間必要かを先に決め、その時間を満たせる運転モードがあるかを見ると、長い最大値に引っ張られにくくなります。
実際の使用時間は使用環境やバッテリーの状態などでも変わるため、メーカー公表値は目安として扱います。
設置場所は「床に置けるか」だけで考えない
停電時は、普段と同じ場所で過ごすとは限りません。
家族が一つの部屋に集まる、寝る場所を変える、窓際を避けるなど、過ごす位置が変わることもあります。
そのため、充電式扇風機の設置方法は、次のように具体的に考えます。
- 部屋の床や棚に据え置いて使いたい
- ベッドや机の近くへクリップで固定したい
- 置き場所が少ないので吊り下げたい
- 家の中を移動しながら手持ちや首掛けで使いたい
アイリスオーヤマのPCF-SD15CHのような据え置き型は、部屋で継続して使いやすい反面、1.4kgあるため頻繁に持ち歩く用途には向きません。
無印良品のMJ-CLF1は、置く・はさむ・吊るすを選べるため、設置場所を変えやすいのが特徴です。
BRUNOのBDE072は約140gで折りたためるため、1か所に固定するより、人と一緒に移動させたい場合に比べやすい製品です。
「どこに置くか」ではなく、「停電時にどこで過ごすか」から扇風機の形を決めると、自宅で使う場面を想像しやすくなります。
バッテリー容量のmAhだけでは使用時間を比べにくい
充電式ファンでは、バッテリー容量のmAhが大きい製品に目が向きがちです。
今回の3台では、アイリスオーヤマのPCF-SD15CHは2,200mAh、無印良品のMJ-CLF1は4,000mAh、BRUNOのBDE072は2,000mAhです。
ただし、PCF-SD15CHのバッテリーはDC14.8V、MJ-CLF1はDC3.6V、BDE072は3.7Vです。電圧が違うため、mAhの数字だけを横並びにして「4,000mAhだから一番長い」と判断することはできません。
さらに、ファンの大きさ、モーター、風量設定、首ふりの有無などによっても、消費する電力は変わります。
防災用として見るなら、バッテリー容量そのものより、メーカーが製品ごとに示している風量別・条件別の連続使用時間を優先して確認するほうが、実際の使い方につなげやすくなります。
「充電できるか」まで含めて停電中の電源を考える
充電式扇風機は、最初の満充電だけで停電期間すべてをまかなえるとは限りません。
停電前に満充電にしていても、強い風量で使えば数時間でバッテリーを使い切る製品があります。
そのため、購入時には次の点も確認します。
- 充電端子の種類
- 必要な入力
- 充電時間
- 停電中に使えるモバイルバッテリーやポータブル電源があるか
アイリスオーヤマのPCF-SD15CHは、5V3A出力に対応したUSBアダプターやモバイルバッテリーなどを充電電源として案内しています。
無印良品のMJ-CLF1はUSB Type-Cで、DC5V・2Aの場合の充電時間は約3.5時間です。
BRUNOのBDE072もUSB充電式で、入力はDC5V・1.5A Max.、充電時間は約3時間です。
ただし、「USB Type-Cだから、手元のどの充電器やモバイルバッテリーでも同じ条件で使える」とは限りません。必要な入力条件まで確認します。
充電しながら運転できるかも製品ごとに違います。PCF-SD15CHはアイリスオーヤマ公式楽天市場店で充電しながら使用できると案内されています。一方、無印良品のMJ-CLF1は取扱説明書で「充電しながら運転しない」とされています。BRUNOのBDE072は、確認したメーカー公式仕様では充電しながらの運転可否を確認できなかったため、可否を断定しません。
最大風量を使い続ける前提で選ばない
暑いときは、できるだけ強い風が欲しくなります。
ただ、今回の3製品でも、強い側の運転時間は、アイリスオーヤマのPCF-SD15CHがターボ・首ふりありで約3時間、無印良品のMJ-CLF1が風量4で約4時間、BRUNOのBDE072が風量4で約2時間です。
長時間の停電で最初から最大風量を使い続けると、必要な時間より先にバッテリーを使い切る可能性があります。
ただし、メーカーが公表していない複数の運転モードを組み合わせて、「この使い方なら合計○時間持つ」と計算することはできません。
購入前には、強さより先に必要時間を決め、公式に確認できる運転時間の範囲で使い方を考えると判断しやすくなります。
平時に一度、満充電から使う場所まで確認する
充電式扇風機は、収納しているだけでは停電時の使いやすさが分かりません。
購入後は、平時に一度、次の点を確認しておきます。
- 満充電まで何時間かかるか
- どこへ置く・はさむ・吊るすのか
- 寝る場所まで風が届くか
- よく使う風量はどれか
- 充電ケーブルと電源を一緒に取り出せるか
クリップ式なら、停電時に使いたい棚やベッド周りへ実際に固定できるかを試します。据え置き型なら、普段とは違う部屋へ移す場合の置き場所を決めておきます。
折りたたみ型なら、卓上・手持ち・首掛けのうち、停電中にどの形で使うかを試しておくと迷いにくくなります。
「充電して保管する」だけでなく、「停電したらどこへ持っていくか」まで決めておくと、設置方法の違いが備えにつながります。
まとめ|夏の停電用は「設置場所→必要時間→風量」の順で選ぶ
夏の停電に備える充電式扇風機は、最大風量やバッテリー容量だけでは選びにくい用品です。
選び方は、次のように整理できます。
- 部屋に据え置いて首ふりで使いたい → 据え置き・首ふりタイプ
- 棚やベッド周りへ固定したい → クリップ・吊り下げ対応タイプ
- 家の中を移動しながら使いたい → 折りたたみ・手持ち対応タイプ
形が決まったら、使いたい風量での連続使用時間、充電時間、充電入力を確認します。
最初に決めるのは「最大何時間動くか」ではなく、停電時にどこで何時間使いたいかです。その条件から逆算すると、自分の夏の停電対策に合う充電式扇風機を選びやすくなります。
