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停電時に冷蔵庫を動かすポータブル電源は何Wh必要?容量・出力の見方を解説

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冷蔵庫を停電中も動かしたいなら、最初に確認するのは容量(Wh)ではなく、冷蔵庫を起動できる出力(W)です。冷蔵庫用は先にW、次にWhという順番で検討すると、必要以上に大きく重いモデルを買わずに済みます。

ポータブル電源自体が一人暮らしの生活に必要かどうかで迷っている場合は、『一人暮らしにポータブル電源は必要?モバイルバッテリーで足りる人との違い』を先にご覧ください。

冷蔵庫の消費電力と起動時の出力を確認し、そのうえで何時間動かしたいかを決めれば、候補となる容量帯は自然に絞れます。

目次

冷蔵庫用のポータブル電源は「Wh」より先に「W」で選ぶ

ポータブル電源のスペック表には、容量を示す「Wh」と、出力を示す「W」の2種類の数字が並んでいます。冷蔵庫用に選ぶ場合、先に見るべきは出力のWです。

Wは、その冷蔵庫のスイッチを入れて動かせるかどうかを決める数字です。Whは、動かした状態を何時間まかなえるかを決める数字です。出力が足りていなければ、容量がどれだけ大きくても冷蔵庫は起動しません。

冷蔵庫用ではWhだけ見ても選べない。最初にWで「動くか」を確認し、そのあとWhで「何時間動かすか」を決める。

冷蔵庫用ポータブル電源はWを確認してからWhを選ぶという2ステップの図解

先にWを満たす機種を絞り込み、そのなかからWhで検討する、という順番です。

冷蔵庫を「動かせるか」と「何時間動かせるか」で見る数字は違う

冷蔵庫の仕様にはいくつか電力の数字が載っていますが、ポータブル電源を選ぶときは、それぞれを見る目的が違います。

まず、冷蔵庫を動かせるかを見るときに関係するのが「W(ワット)」です。冷蔵庫には通常運転中に使う電力だけでなく、コンプレッサーが動き始める瞬間に一時的に大きな電力が必要になることがあります。そのため、ポータブル電源は通常運転に対応できる定格出力だけでなく、起動時の電力にも対応できるかを見る必要があります。

一方、「そのポータブル電源で冷蔵庫をどのくらい動かせそうか」を考えるときに使うのが、冷蔵庫の「年間消費電力量」です。たとえば「260kWh/年」と表示されていれば、365日で割ることで、1日あたりの消費電力量の目安を計算できます。

ただし、年間消費電力量はJISで定められた条件で測定された数値です。停電時の室温やドアの開閉回数などによって実際の消費電力量は変わるため、計算した1日分の数字は実際の稼働時間を保証するものではなく、必要なWhを考えるための目安として使います。

つまり、冷蔵庫用のポータブル電源は、まずWで「冷蔵庫を動かせるか」を確認し、そのあとWhで「どのくらい動かしたいか」を考えると整理しやすくなります。

冷蔵庫用はWhより先に、起動できるWかを確認する

冷蔵庫は、運転中ずっと同じ電力を使っているわけではありません。コンプレッサーが動き始める瞬間には、通常運転時より大きな電力が必要になります。

そのため、ポータブル電源を選ぶときは、まず冷蔵庫の通常運転に対応できる「定格出力」を確認し、次に起動時の大きな電力に対応できる「瞬間最大出力(サージ出力)」を確認します。

たとえばAnker Japan公式サイト「1000Wh帯のポータブル電源で使える家電は?おすすめのポータブル電源も紹介!」では、家庭用冷蔵庫の目安として、消費電力約150W・起動電力約1100Wとしています。Jackery公式のヘルプセンターでも、家電によっては起動時に定常時の数倍以上の電力が必要になると説明しています。Jackery公式のヘルプセンターでも、家電によっては起動時に定常時の数倍以上の電力が必要になると説明しています。

つまり、「冷蔵庫が150Wだから、150Wを出せるポータブル電源なら動く」とは限りません。 容量が十分あっても、起動時の電力に対応できなければ、冷蔵庫が動き始めるところで止まる可能性があります。

冷蔵庫の通常運転時の消費電力だけでポータブル電源を選ばず、起動時の電力と瞬間最大出力まで確認することを示す2コマシーン画像

自宅の冷蔵庫の起動電力がメーカー資料で分かる場合は、その数値がポータブル電源の瞬間最大出力の範囲に収まるかを確認します。数値が公表されていない場合は、冷蔵庫の型番を伝えてメーカーへ確認するか、候補のポータブル電源メーカーに接続可否を問い合わせる方法があります。

購入後は、停電が起きる前に実際の冷蔵庫へ接続し、正常に起動するか確認しておくと、停電時に初めて「動かなかった」と気づく事態を避けやすくなります。

冷蔵庫が動くことを確認したら、次は「何時間使いたいか」でWhを決める

冷蔵庫を起動できる出力があることを確認したら、次に考えるのがポータブル電源の容量です。ここで見るのが「Wh(ワットアワー)」で、冷蔵庫をどのくらいの時間動かしたいかによって必要な容量が変わります。

一般的には、

必要電力量(Wh)≒ 平均消費電力(W)× 使用時間(h)

で考えられます。ただし、冷蔵庫はコンプレッサーが動いたり止まったりするため、表示されている消費電力を24時間そのまま掛けても、実際の1日分の消費電力量にはなりません。

そこで目安にしやすいのが、メーカーが公表している年間消費電力量です。

年間消費電力量(kWh)×1000÷365

とすると、1日あたりに使う電力量の目安をWhで出せます。

たとえば、1日分の目安が約700Whの冷蔵庫なら、「1日動かしたいから700Whのポータブル電源で十分」とは限りません。ポータブル電源ではAC出力時の変換ロスなどがあるため、表示容量をすべて冷蔵庫に使えるわけではないからです。

年間消費電力量から出した数字は、「何Wh級から検討するか」を決めるための目安として使います。実際の稼働時間は、室温やドアの開閉、冷蔵庫の運転状況などでも変わります。

150L前後の冷蔵庫2機種では、1日約712〜742Whが目安になる

一人暮らし向けの150L前後の冷蔵庫では、1日にどのくらいの電力量を使うのでしょうか。メーカー公式で年間消費電力量を確認できる2機種を例に計算します。

Panasonic NR-B16C3(定格内容積156L)は、年間消費電力量271kWh/年、定格消費電力は電動機52W・電熱装置120Wです。

SHARP SJ-GD15R(定格内容積152L)は、年間消費電力量260kWh/年、定格消費電力は電動機52W・電熱装置110Wです。

年間消費電力量を365日で割って1日分に直すと、

Panasonic NR-B16C3:271kWh ÷ 365 ≒ 約742Wh/日
SHARP SJ-GD15R:260kWh ÷ 365 ≒ 約712Wh/日

となります。

つまり、この2機種では1日あたり約712〜742Wh相当です。年間消費電力量から1日分の目安を出す場合は、

年間消費電力量(kWh)×1000÷365

で計算できます。

停電した夜、まず「翌朝まで冷蔵庫をつなぐ」と考えてみる

たとえば18時に停電し、まず翌朝6時までの12時間、冷蔵庫を優先して動かしたいとします。

本文で紹介したPanasonic NR-B16C3は、年間消費電力量から単純換算すると1日約742Wh、SHARP SJ-GD15Rは約712Whです。12時間分を同じ方法で単純換算すると、それぞれ約371Wh、約356Whに相当します。

もちろん、これは年間消費電力量を時間で割った参考値です。実際の消費量は室温、ドアの開閉、庫内の食品量、コンプレッサーの動作、ポータブル電源側の変換ロスなどで変わるため、「この容量なら12時間動く」と保証する数字ではありません。

それでも、停電直後からいきなり「24時間をどうするか」と考えるのではなく、まず一晩は冷蔵庫を優先し、スマートフォンや照明はモバイルバッテリーなど別の電源へ分けると考えると、必要な電力を整理しやすくなります。翌朝になって停電が続いていれば、残量を確認して次の使い方を考えられます。

150L前後の冷蔵庫2機種の年間消費電力量から1日あたりの電力量を算出した例。

ただし、この約712〜742Whは、JISの測定条件による年間消費電力量を1日分に換算した目安です。停電時の実際の消費量は、室温、ドアの開閉、庫内の食品量、設定温度、コンプレッサーの運転状況などによって変わります。

さらに、ポータブル電源は表示容量のすべてをAC機器に使えるわけではなく、DCからACへ変換するときにもロスが生じます。

そのため、1000Whのポータブル電源なら24時間動くと保証できるわけではありません。 一方で、この2機種のような150L前後の冷蔵庫を1日程度バックアップしたい場合、1000Wh級は候補に入れやすい容量帯です。

1000Whのポータブル電源なら冷蔵庫を必ず24時間動かせるとは考えず、使用条件や変換ロスを踏まえて必要時間から余裕を持って容量を選ぶことを示す2コマシーン画像

「約700Wh使う冷蔵庫だから700Whの電源でよい」と考えるのではなく、変換ロスなども含めて余裕を持たせることが、容量を選ぶときのポイントです。

500Whで足りる人・1500Whまで考えたい人の違い

先ほどの2機種では、年間消費電力量から換算した1日分が約712〜742Whでした。この数字を基準にすると、500Wh・1000Wh・1500Whの違いは「大きいほど安心」ではなく、冷蔵庫を何時間使いたいか、ほかの機器にも電力を使うかで考えると分かりやすくなります。

500Wh級が候補になるのは、冷蔵庫を1日動かし続けることより、停電中の短時間のバックアップを優先したい場合です。今回の2機種を1日程度動かす前提では容量に余裕が少ないため、「500Whあれば一人暮らし用冷蔵庫は1日大丈夫」とは考えない方がよいでしょう。

1000Wh級は、今回の150L前後の2機種を1日程度バックアップしたい場合に候補へ入れやすい容量帯です。ただし、スマートフォンや照明などにも同じポータブル電源から給電すれば、その分だけ冷蔵庫に使える容量は減ります。

1500Wh以上を考えたいのは、冷蔵庫以外にも電力を使いたい場合や、1日分より容量に余裕を持たせたい場合です。一方、冷蔵庫だけを1日程度動かすことが目的なら、容量を増やすほど本体も重くなりやすく、持ち運びや価格とのバランスも考える必要があります。

つまり、冷蔵庫だけを短時間なら500Wh級、今回の2機種を1日程度なら1000Wh級、ほかの機器やさらに余裕まで考えるなら1500Wh以上という順で候補を広げると、必要以上に大きなポータブル電源を選びにくくなります。

冷蔵庫を動かす条件を満たしたうえで、使い方に合う1000Wh級を選ぶ

3機種とも容量は1024Whなので、まず見るべきなのは冷蔵庫の通常運転に対応できる定格出力と、起動時の大きな電力に対応する瞬間最大・サージ出力です。

その条件を満たす候補の中から、停電時に持ち運ぶ可能性があるなら重量を比べます。軽さを重視するのか、複数のAC機器をつなぎたいのか、後から容量を増やしたいのかによって、向く機種が変わります。

電源容量定格出力瞬間最大・サージ重量向いている使い方
Jackery ポータブル電源 1000 New V31024Wh1500W3000W約10.6kg容量と軽さのバランス
Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station1024Wh1550W2300W約11.3kgAC機器を複数接続したい
EcoFlow DELTA 3 Plus1024Wh1500W3000W約12.5kg後から容量を拡張したい

容量と軽さのバランスを取りたいなら、Jackery ポータブル電源 1000 New V3が候補です。冷蔵庫に加えて別のAC機器も同時に接続したいなら、3機種のなかでACポート数が最も多いAnker Solix C1000 Gen 2が候補になります。冷蔵庫のバックアップ時間を後から伸ばせる余地を残したいなら、専用のエクストラバッテリーで容量を拡張できるEcoFlow DELTA 3 Plusが候補です。

まずは自宅の冷蔵庫が必要とする通常運転時の電力と起動時の電力に対応できることが前提です。その条件を満たしたうえで、軽さならJackery、複数のAC機器をつなぐならAnker、容量拡張まで考えるならEcoFlowと絞ると、自宅での使い方に合う機種を選びやすくなります。

容量と軽さのバランスなら|Jackery ポータブル電源 1000 New V3

容量と重量のバランスを重視したい人、停電時に別の部屋へ持ち運ぶ場面がある人に向いています。

容量1024Wh、定格出力1500W、瞬間最大出力3000W、重量約10.6kg。Jackery公式サイトによると、サイクル寿命は約6000回で、6000回使用後も工場出荷時の70%の容量を維持します。緊急充電モード使用時は最短約50分でのフル充電に対応します。

瞬間最大出力は3000Wで、起動時に大きな電力を必要とする冷蔵庫にも対応しやすい仕様です。重量約10.6kgは、今回比較した3商品の中では最も軽く、部屋間を移動させる場合の重量負担を抑えやすいモデルです。UPS機能(約10ミリ秒)とパススルー機能に対応しており、普段から冷蔵庫につないでおく使い方にも対応します。ACコンセントを2グループに分けて個別にオン・オフできる「AC分路独立制御」も搭載しており、使わない家電への給電を止めて残量を節約できます。

容量1024Whは、150L前後の冷蔵庫を1日程度バックアップする目安の一つであり、他の家電へ同時給電すると冷蔵庫に使える時間は短くなります。

AC機器を複数接続したいなら|Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station

複数のAC機器を同時に接続できる構成を重視したい人に向いています。

容量1024Wh、定格出力1550W、瞬間最大出力2300W、重量約11.3kg。Anker Japan公式サイト「Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station」によると、サイクル寿命は4000回以上で、4000回の充放電後も容量80%以上を維持します。HyperFlash技術による急速充電で、約54分でのフル充電に対応します。ACポートは5口あり、複数の機器を同時に接続できます。

冷蔵庫に加えて別の家電も同時に接続したい場合、ACポート数の多さは選択肢を広げます。ACポートは5口ありますが、複数の機器を同時に使う場合は、それぞれの消費電力と製品の出力条件を確認してください。UPS機能は約10ミリ秒での切り替えに対応しており、普段から冷蔵庫を接続しておく使い方とも相性がよい仕様です。

瞬間最大出力は2300Wと3機種の中では最も低いため、冷蔵庫の起動電力が大きい機種では他の2機種より余裕が小さくなる場合があります。事前に自宅の冷蔵庫の起動時電力を確認しておくと安心です。

後から容量を拡張したいなら|EcoFlow DELTA 3 Plus

後から冷蔵庫のバックアップ時間を伸ばしたい人に向いています。

容量1024Wh、定格出力1500W、サージ3000W、重量約12.5kg。EcoFlow公式サイトによると、AC充電は最短56分でのフル充電に対応し、専用のエクストラバッテリーを追加すると最大5kWhまで容量を拡張できます。X-Boost機能を使うと、定格出力を超える最大2000Wまでの家電を動作させられる場合があります(対応機器は公式情報で要確認)。

1000Whでは足りないと感じた場合に、あとから容量を拡張できる点が3機種の中での特徴です。UPS機能は10ミリ秒未満での切り替えにも対応しており、普段から常時接続しておく使い方にも向いています。

X-Boostは定格出力を超える一部家電を動かすための機能で、瞬間的な起動電力(サージ)への対応とは別の仕組みです。冷蔵庫の起動電力への対応は、サージ3000Wの数値で確認してください。

停電時に自動で冷蔵庫へ給電したいならUPS機能を確認する

停電が起きてから冷蔵庫のプラグをポータブル電源へ差し替えるのではなく、停電と同時に自動で給電を切り替えたい場合は、UPS機能が選ぶ条件になります。 普段から冷蔵庫をポータブル電源経由で接続しておけば、停電時に手動でつなぎ替える作業を減らせます。

3機種のUPS切替時間は、Jackery ポータブル電源 1000 New V3が約10ミリ秒、Anker Solix C1000 Gen 2が約10ミリ秒、EcoFlow DELTA 3 Plusが10ミリ秒未満と、各社公式サイトに表記されています。

ただし、UPS機能があることと、どの冷蔵庫でも問題なく使えることは同じではありません。 普段から接続したまま使いたい場合は、ポータブル電源側が常時接続・UPS用途をどの条件で認めているかに加え、冷蔵庫側の取扱説明書で電源条件も確認します。

停電時に自動で冷蔵庫への給電を続けたいならUPS対応を重視し、停電後に自分でプラグをつなぎ替えられるなら、UPS機能を最優先にする必要はありません。 その場合は、容量・定格出力・起動時の出力・重量を優先して選べます。

まとめ|冷蔵庫のWを確認し、必要時間と使い方から選ぶ

冷蔵庫用のポータブル電源は、容量だけを見て選ぶのではなく、まず自宅の冷蔵庫を起動・運転できるかを確認します。本体ラベルや取扱説明書、メーカー公式情報から通常運転時と起動時に必要な電力を確認し、それに対応できる定格出力・瞬間最大出力を持つ機種に候補を絞ります。

次に、停電時に冷蔵庫を何時間動かしたいかから必要なWhを考えます。150L前後の一人暮らし用冷蔵庫を1日程度動かすことを想定するなら、1000Wh級は検討しやすい容量帯の一つです。冷蔵庫以外の家電も同時に使うなら、その分の消費電力と必要容量も加えて考えます。

1000Wh級の中でも、容量を確保しながら軽さを重視するならJackery ポータブル電源 1000 New V3、冷蔵庫とほかのAC機器を同時に接続したいならAnker Solix C1000 Gen 2、後からバックアップ時間を延ばせる余地を残したいならEcoFlow DELTA 3 Plusが候補になります。

また、停電時に冷蔵庫への給電を自動で切り替えたいならUPS機能も選択条件になります。停電後に自分でつなぎ替えられるなら、UPSを最優先にせず、容量・出力・重量を優先して選んでも構いません。

冷蔵庫を動かせる出力を確保したうえで、「何時間使いたいか」「ほかの家電も使うか」「持ち運ぶか」「自動切替が必要か」を当てはめると、自宅に必要なポータブル電源を絞りやすくなります。

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この記事を書いた人

防災用品を、住まい・人数・困りごと・予算などの条件から比較しています。官公庁・メーカー公式情報などの一次情報を重視しています。

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