水道水は、災害用の飲料水として自宅でくみ置きできます。市販の長期保存水だけが備蓄の方法ではありません。
清潔でふたのできる容器に蛇口から直接、空気に触れにくい状態で入れて保管すれば、水道水も飲料水備蓄の一つの選択肢になります。
ただし、「常温で〇日、冷蔵庫で〇日」という保存期間は全国共通ではありません。実際にくみ置きを始める前に、自分が住んでいる地域の水道事業者がどのような期間を案内しているか、確認しておく必要があります。
水道水は災害用にくみ置きできる|保存水だけに頼らなくていい
「災害用の飲料水」というと、市販のペットボトル入り保存水を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、東京都水道局『くみ置く際の留意事項』は、清潔で蓋のできる容器に、できるだけ空気に触れないよう口元まで一杯に水道水を入れる方法を紹介しています。大阪市水道局『いざというときに備えて飲料水を備蓄しましょう』も、ペットボトルやポリタンクなどふたのできる容器に、蛇口から直接水道水を入れて備蓄する方法を案内しています。
水道水のくみ置きは、市販の長期保存水と同じように長期間そのまま保管するものではなく、定期的な入れ替えが前提です。「一度くんだらそのまま置いておける」ものではないと知っておくと、備え方の見通しが立てやすくなります。
くみ置く量の目安についても、東京都水道局では1人1日3リットルを目安に3日分程度のくみ置きを案内しています。
くみ置きの基本は「清潔な容器・蛇口から直接・口元いっぱい」
くみ置きの手順は、次の6点が基本になります。
- 清潔でふたのできる容器を用意する
- 水道水を蛇口から直接入れる
- 口元いっぱいまで満たす
- しっかりふたをする
- 直射日光を避けて保管する
- くみ置きした日がわかるようにしておく

東京都水道局・大阪市水道局はいずれも、空気が残らないよう口元まで入れる方法を案内しています。少し隙間を空けておいたほうが良さそうに感じるかもしれませんが、容器に空間を残すのではなく、口元まで満たすのが両水道局の案内です。
容器選びにも注意点があります。大阪市水道局『よくある質問と回答【水質】』では、ジュースやお茶などが入っていた容器は、においが水に移ったり雑菌が繁殖しやすかったりするため避けるよう案内しています。空いたペットボトルをそのまま使えると思っていた人は、ここも見直しておくとよい点です。
浄水器を通した水・沸かした水は同じ扱いにしない
東京都水道局は、浄水器を通したり沸かしたりすると消毒用の塩素が除去されてしまうため、そのような水はくみ置き用として案内していません。東京都水道局の案内に従う場合は、浄水器を通さず、沸かしていない水道水を蛇口から直接くみ置きします。
くみ置きした水を飲むときの扱いにも注意点があります。東京都水道局は、雑菌が入らないよう直接口を付けずコップなどに注いでから飲むよう案内しています。大阪市水道局『よくある質問と回答【水質】』でも、容器から直接飲むと口に含まれている雑菌等が容器へ混入し、繁殖する原因になるとして、一度コップに移してから飲むよう案内されています。容器のまま口を付けて飲む習慣がある人は、ここだけでも見直す価値があります。
「浄水器を通した水の方が清潔だから長く保存できるはず」というのは、多くの人が自然に持ちやすい感覚です。しかし、清潔な容器を使うことに加えて、消毒用の塩素を除去しないことも大切です。浄水器や煮沸した水の扱いについても、居住地域の水道事業者の案内を確認してください。
「何日もつか」は地域の水道事業者の案内を確認する
「水道水は常温で3日、冷蔵庫なら10日」という数字を見たことがあるかもしれません。これは東京都水道局が案内している目安であり、全国共通の基準ではありません。大阪市水道局は、冷暗所で保管し、3日程度で定期的に入れ替えるよう案内しています。両者を比べると、次のようになります。
| 水道事業者 | 入れ方 | 保存場所 | 保存期間の案内 | 期間後 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都水道局 | 清潔な蓋付き容器へ口元まで | 直射日光を避ける/冷蔵庫 | 常温3日程度、冷蔵庫10日程度 | トイレなどの生活用水 |
| 大阪市水道局 | 洗った蓋付き容器へ口元いっぱい | 直射日光を避けた冷暗所 | 3日程度で入れ替え | 洗濯・草花の水やりなど |
「全国一律の日数」として覚えるのではなく、自分の住んでいる地域の水道事業者がどう案内しているかを確認することが、くみ置きを続けるうえでの前提になります。同じ日本国内でも、水道事業者によって案内する保存条件は異なります。
保存期間を過ぎた水は生活用水に回せる
保存期間を過ぎた水道水は、捨てるしかないと思われがちです。しかし、東京都水道局はトイレなどの生活用水への利用を案内しており、大阪市水道局も洗濯や草花の水やりなどへの利用を案内しています。
くみ置きを続けるコツ|交換日を決めて回す
くみ置きを一度きりで終わらせず続けるには、交換日を決めておくことが助けになります。
今日水をくんだら、容器やふたに油性ペンでくみ置き日を書いておきます。
「3日」「10日」を全国共通の交換日として覚えるのではなく、自分の地域の水道事業者が示す期間に合わせて次の交換日を決めます。
案内されている入れ替え時期になったら、その水道事業者が案内する範囲で生活用水に回し、新しい水をくみ直します。
日付を書いておくだけで、「いつ入れ替えたか分からなくなる」という管理の負担を減らせます。
水道水のくみ置きに加えて、市販の保存水を具体的に何本用意すればよいか知りたい場合は、『一人暮らしで保存水は何本必要か』の記事も参考になります。

まとめ|水道水も備蓄の選択肢の一つになる
水道水は、清潔な容器へ蛇口から直接入れ、空気に触れにくい状態で保管することで、災害用のくみ置きとして備えられます。ただし、保存期間を全国共通の数字で覚えるのではなく、自分の地域の水道事業者の案内に従うことが欠かせません。
清潔な容器→蛇口から直接→口元まで→適切に保管→日付を確認して入れ替えるという流れを一度試しておくと、市販の保存水だけに頼らない備え方を一つ増やせます。正しい方法を知っていれば、清潔でふたのできる容器と水道水でも、飲料水備蓄の選択肢を増やせます。
