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高齢者がいる家庭の非常食はどう選ぶ?食べやすさと調理の負担で比較

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高齢の家族と暮らしている、あるいは離れて暮らす高齢の家族のために非常食を準備しようとすると、「高齢者向け」と書かれた商品がたくさん出てきます。ただ、高齢者がいる家庭で本当に確認すべきなのは、保存期間の長さよりも先に、本人の普段の食形態、そして災害時にどれだけの水・熱源・調理作業が必要になるかです。

農林水産省は、高齢者と、かむこと・飲み込むことなど食べる機能が弱くなった方を分けて備蓄例を示しています。その違いを踏まえ、食形態と調理負担の2つから、自宅に合う非常食を考えていきます。

目次

高齢者の非常食は「年齢」だけで選んではいけない

「高齢者だから、やわらかい介護食が必要」とひとくくりにはできません。

農林水産省「要配慮者と単身者の食品ストックガイド」では、高齢者向けの備蓄品として、レトルトやアルファ米のおかゆ、缶詰・レトルト食品・フリーズドライ食品、インスタント味噌汁や即席スープ、食べ慣れた乾物、栄養補助食品、好物の食品や飲み物などが案内されています。このガイドには「やわらかさ」を前提とした表現はなく、食べ慣れたものを備えるという考え方が中心になっています。

一方で、同ガイドは「食べる機能が弱くなった方」という項目を別に設け、やわらかいレトルトごはん(おかゆ)、スマイルケア食などの介護食品、缶詰・レトルト食品・フリーズドライ食品、とろみ調整食品を案内しています。

普段どおりの食事を問題なく食べている高齢者と、かむこと・飲み込むことに個別の配慮が必要な方は、同じ「高齢者向け非常食」という言葉でひとくくりにできません。農林水産省の資料自体が、この2つを分けて備蓄例を示しています。

つまり、非常食を選ぶ最初の分かれ道は「年齢」ではなく、本人が普段どういう食形態で食事をしているかにあります。

高齢者だから一律にやわらかい非常食を選ぶのではなく、本人が普段食べている食形態を基準に選ぶことを示す2コマシーン画像

まず確認したいのは食形態と調理負担

高齢者がいる家庭で非常食を選ぶときに確認したい項目は、次のとおりです。

  • 本人が普段食べているご飯・おかゆ等の食形態
  • メーカー公式が示すやわらかさの表現
  • UDF(ユニバーサルデザインフード)等の客観的な表示の有無
  • 水が必要かどうか
  • 熱源が必要かどうか
  • 戻し時間・待ち時間
  • 食器が必要かどうか

このうちUDFについて、日本介護食品協議会「わかるユニバーサルデザインフード」では、日本介護食品協議会が定めた規格に基づき、「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」という4区分でかたさ・粘度を示す仕組みだと説明されています。

これは食品のかたさを確認するための客観的な目安のひとつであり、「この区分だから本人に合う」と外側から判定できるものではありません。区分同士に優劣があるわけでもなく、UDF表示のない食品が高齢者に不向きということでもありません。

高齢者がいる家庭の非常食選びで、食形態・調理負担・備蓄性を確認する考え方を示した図

高齢者がいる家庭向けの備蓄食品を比較してみる

3商品は、同じ「高齢者向けの備蓄食品」でも向いている場面が違います。普段のおかゆに近い食形態を重視するのか、水や加熱を使わずすぐ食べられることを重視するのか、主食とは別に温め不要のおかずを備えたいのかで、見るべき商品が変わります。

次の表では、本人の普段の食形態に合うかを最初に見たうえで、水・熱源・待ち時間・食器の要否を比べると、自宅に合う候補を絞りやすくなります。

食品名食品としての役割メーカー公式の食形態・やわらかさ表示UDF区分水熱源待ち時間・準備食器保存期間
アルファー食品 安心米 白がゆ加水して、おかゆ/やわらかご飯を選びたい場合の主食注水量により「おかゆ」「やわらかご飯」の2通り歯ぐきでつぶせる(メーカー公式)必要(お湯または水)不要(水だけで戻せる。お湯を使うと戻り時間を短縮できる)熱湯15分/水60分不要(スプーン付属)5年間
アルファー食品 白がゆ(レトルト)水・加熱なしで準備負担を減らしたい場合の主食そのまま食べられるおかゆ舌でつぶせる(メーカー公式)不要不要開封してすぐ不要(袋がそのまま容器)7年間
ハウスギャバン LLヒートレスカレー<温めずにおいしい野菜カレー>温めずに使えるおかず常温でもなめらかな口当たりになるよう配合表示なし不要不要開封してすぐ必要(別容器・ご飯が必要)6年10ヵ月

本人の普段の食形態に合うことを前提に、注水しておかゆ・やわらかご飯を選びたいなら「安心米 白がゆ」、水・加熱・食器を使わず、開封してすぐ主食を用意したいなら「白がゆ(レトルト)」が候補です。主食とは別に、温めずに食べられるおかずを備えたいなら「LLヒートレスカレー」が選択肢になります。

保存期間の長さだけで決めるのではなく、本人が普段食べている形態に近いか、水や熱源を使えるか、誰が準備するのかまで当てはめると、自宅で実際に使いやすい備蓄食品を選びやすくなります。

アルファー食品 安心米 白がゆ

国産うるち米100%を使用したアルファ化米で、お湯または水を注いで戻すタイプの主食です。アルファー食品オンラインショップ「安心米 白がゆ」商品ページによると、注水線が2本あり、注水量を変えることで「おかゆ」(できあがり約271g)と「やわらかご飯」(できあがり約191g)の2通りの食べ方を選べます。戻し時間の目安は熱湯で15分、水(約20℃)で60分です。

アルファー食品株式会社の家庭備蓄ページ「ご家庭での備蓄食品について」によると、白がゆ・梅がゆはいずれもUDF「歯ぐきでつぶせる」の認証を取得しています。スプーンが同封されているため、食器を別に用意する必要はありません。

注水量を変えることで、おかゆとやわらかご飯の2通りから選べます。一方で、水またはお湯が必要になるため、断水時に使う場合は調理用の水も一緒に備えておく必要があります。普段の食事に近いほうを選べる点は便利ですが、どちらが合うかは本人の普段の食べ方に合わせて確認してください。

アルファー食品 白がゆ(レトルト)

水も食器も調理も不要で、袋を容器にしてそのまま食べられるレトルトタイプのおかゆです。アルファー食品株式会社「ご家庭での備蓄食品について」では、白がゆ(レトルト)はUDF「舌でつぶせる」に相当するよう、かたさを調整していると説明されています。内容量は200gで、レトルトシリーズは7年間の常温保存が可能です。

温めなくてもそのまま食べられますが、湯煎(沸騰したお湯に袋のまま約5分)や電子レンジでも温められます。原材料はうるち米(国産)と食塩のみです。

水・加熱・食器を用意せず、そのまま食べられるため、災害時の準備をできるだけ減らしたい場合に使いやすいおかゆです。「安心米 白がゆ」のように注水量で食形態を変えることはできませんが、開封してすぐ食べられる手軽さがあります。

UDF区分は「舌でつぶせる」で、「安心米 白がゆ」の「歯ぐきでつぶせる」とはかたさが異なります。どちらが適しているかは、本人が普段食べている食事のかたさに合わせて確認してください。

ハウスギャバン LLヒートレスカレー<温めずにおいしい野菜カレー>

温めずにそのまま食べられるように作られたレトルトカレーで、ご飯にかけて使うおかずの位置づけです。植物油脂とペースト状の野菜を使うことで、常温のままでもなめらかなとろみが出るよう作られています。ハウス食品グループ本社の研究開発ページ「災害用に備蓄可能な、温めずに食べられるカレーの開発」では、災害時要配慮者であるご年配の方や子どもが食べやすいよう、じゃがいもやにんじんをスプーンですくいやすい一口大にしていると説明されています。

ハウスギャバン株式会社「LLヒートレスカレー<温めずにおいしい野菜カレー>」商品ページでは、内容量200g、賞味期間6年10ヵ月と表示されています。

温めずにそのまま食べられるため、主食とは別におかずを備えておきたい場合に使いやすい食品です。ただし、ご飯や食器は別に用意する必要があります。

UDFのような客観的な区分は表示されていないため、かむこと・飲み込むことに配慮が必要な場合は、普段の食事形態や専門職から受けている指示に合うかを確認してください。

「やわらかい」だけでなく、災害時に準備できるかも確認しておきたい

本人が食べやすい食品でも、災害時に準備できなければ十分に活用できません。水を計量する、お湯を沸かす、戻るまで待つ、別の容器に移すといった作業が必要な食品は、断水時や停電時には負担になることがあります。

家族が準備できるなら、水で戻すタイプも選択肢になります。一方で、高齢の本人が一人で準備する可能性がある場合や、できるだけ作業を減らしたい場合は、開封してそのまま食べられる食品を組み合わせておくと使いやすくなります。

非常食は、本人が普段食べている食形態に合うことに加えて、災害時に誰が、どの程度の準備をできるのかまで考えて選ぶと、実際に使いやすい備蓄になります。

備蓄する前に、本人が実際に食べられるかも確認しておきたい

「やわらかそう」「高齢者向けと書いてある」という理由だけで備蓄するのではなく、平時に本人が実際に食べてみることも大切です。農林水産省のガイドでも、レトルト食品や缶詰などを普段から食べ慣れておく考え方が示されています。

食べてみれば、かたさや食べやすさだけでなく、味付けが本人の好みに合うかも確認できます。非常時になってから初めて開封して「食べにくい」「好みに合わない」と気づくより、普段の食事の中で確認しておくほうが確実です。

非常食を非常時に初めて食べるのではなく、平時に本人が実際に食べて食べやすさや味を確認してから備蓄することを示す2コマシーン画像

非常食は、長く保存できるものを買って終わりではありません。本人が実際に食べられるものを確認し、その食品を備蓄するところまでを準備に含めると、非常時にも使いやすい備蓄になります。

かむ・飲み込むことに不安がある場合は、普段の食事形態を基準にする

かむこと・飲み込むことに配慮が必要な場合は、「非常食だから少しやわらかいものを選んでおけばよい」と自己判断で食形態を変えないことが大切です。

まず確認したいのは、本人が普段どのようなかたさ・形態の食事をとっているかです。UDFの「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」といった表示は、候補となる食品のかたさを確認する材料にはなりますが、区分だけを見て本人に合うかどうかを決めることはできません。

すでに食事について医療・介護の専門職から個別の指示を受けている場合は、その内容を基準に備蓄食品を選びます。候補の商品が決まったら、商品名やUDF区分を伝えて、普段の食事形態に合うかを確認しておくと、非常時にも普段と大きく違わない食品を用意しやすくなります。

まとめ

高齢者がいる家庭の非常食は、「高齢者向け」という表示だけで選ぶのではなく、本人の普段の食形態と、災害時の調理負担から考えるのが基本です。

普段からご飯やおかゆを問題なく食べているのか、かむ・飲み込むことに配慮が必要なのかによって、選ぶ食品は変わります。また、水や熱源が必要か、待ち時間や食器の準備が必要かも確認しておくと、災害時に使いやすい備蓄になります。

UDF等の表示は食品のかたさを確認する材料になりますが、本人への適否を決めるものではありません。個別の配慮が必要な場合は、普段の食事形態や専門職から受けている指示を優先してください。

年齢だけで決めず、「普段どう食べているか」と「災害時にどう準備するか」の両方から選ぶことが、高齢者がいる家庭の備蓄食品選びのポイントです。

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この記事を書いた人

防災用品を、住まい・人数・困りごと・予算などの条件から比較しています。官公庁・メーカー公式情報などの一次情報を重視しています。

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