防災用の給水タンクは、20Lの方が安心とは限りません。水だけで考えても、10Lなら約10kg、20Lなら約20kgになります。容量より先に、「満水になったらどう運ぶか」を決めておきたいところです。
手で持って運ぶ前提なら、10Lも比較候補になります。カートや台車を使うなら20Lも選択肢に入りますが、段差や階段、給水所までの距離もあわせて考える必要があります。
そのうえで、空のときの収納を小さくしたいなら折りたたみ式、置き場所を確保できるなら形を保つタンクも候補です。まず10Lと20Lを決め、そのあとで折りたたみ式か形を保つタイプかを選んでいきます。
給水タンクは「何L入るか」より満水で運べるかを先に考える
給水タンクを選ぶとき、まず目が行くのは容量です。けれど防災で考えたいのは、「何L入るか」よりも、満水の状態で運べるかどうかです。
分かりやすくするため、水1Lを約1kgとして概算します。すると、容器の重さを除いても10Lで約10kg、20Lで約20kgです。
| 容量 | 水だけの重さの目安 | 運び方を考えるときのポイント |
|---|---|---|
| 10L | 約10kg | 手持ちも含めて、自分や家族が運べるか確認 |
| 20L | 約20kg | カート・台車などの運搬手段も一緒に検討 |
ただ、10Lなら軽い、20Lなら持てない、と単純には言えません。体格や体力に加えて、給水所からの距離、坂道、段差、階段の有無でも負担は変わります。
特にマンションでは、停電でエレベーターが使えない場合も想定しておきたいところです。横浜市も、中高層の建物では停電時に水の運搬が困難になる可能性があると案内しています。
20Lを1個用意する代わりに、10L容器へ分ける考え方もあります。運ぶ回数との兼ね合いはありますが、「大きい方を1個買えば安心」と決めてしまわず、満水になった状態を想像して選ぶ方が現実的です。
10Lか20Lを決めてから、収納方法でタイプを選ぶ
容量の見通しが立ったら、次は空のときの保管方法です。
比べるのは、ゼニスの折りたたみ式10L・20Lと、キャプテンスタッグの形を保つ10L・20Lです。なお「形を保つタイプ」は、折りたたみ式と区別するために、この記事で使っている呼び方です。
折りたたみ式の分かりやすい違いは、使わないときに小さくできることです。一方、キャプテンスタッグの2商品は折りたたまず、広口キャップ、コック、取っ手を備えています。
「形を保つタイプの方が丈夫」「折りたたみ式の方が漏れやすい」といった優劣は付けません。確認できる仕様をもとに、収納方法と容量の違いを見ていきます。
10L・20L×2タイプの4商品を比較
ここからは、10L・20Lそれぞれについて、折りたたみ式と形を保つタイプの4商品を比べます。
比較するときに見たいのは、容器そのものの軽さだけではありません。満水にするとどのくらいの重さになるのか、空のときにどう収納できるのかを並べて見ることで、自分が運べる容量と、置き場所に合うタイプを絞り込めます。
なお、満水時の総重量はメーカー公表値ではありません。水1Lを約1kgとして、容器の公表重量を足した記事内の概算です。
| 候補 | 容量・タイプ | 空の重量 | 満水時の概算 |
|---|---|---|---|
| ゼニス WA10 | 10L・折りたたみ | 約200g | 約10.2kg |
| ゼニス WA20 | 20L・折りたたみ | 約300g | 約20.3kg |
| ボルディ10L | 約10L・形を保つ | 約880g | 約10.9kg |
| ボルディ20L | 約20L・形を保つ | 約1.1kg | 約21.1kg |
表を見ると、空の状態では容器の重量に差がありますが、水を満杯にすると、10Lか20Lかの違いの方が大きくなります。
そのため、先に運び方から「10Lか20Lか」を決め、そのあとで収納性や使い方から容器のタイプを選ぶと整理しやすくなります。

手持ちと省スペースを考える10L折りたたみ|ゼニス WA10
ゼニスの「折りたたみウォータータンク 10L」WA10は、空のときに小さくしまいたい人が比べやすい10Lタイプです。
メーカーの2025防災カタログでは、折畳時200×200×60mm、満水時225×225×270mm、重量約200g、材質はポリエチレンとされています。コックをひねって水を出す構造です。
水を10L入れたときの総重量は、記事内の概算で約10.2kgです。20Lより容量は少なくなりますが、手持ちで運ぶ可能性があるなら、この重さを基準に考える方法があります。
折畳時は200×200×60mmになるため、収納スペースを抑えたい家庭でも候補になります。
20Lでも空のときは小さくしたい|ゼニス WA20
一度に入る量を増やしたい場合は、同じ折りたたみ式の20LのWA20があります。
メーカーの2025防災カタログでは、折畳時260×240×70mm、満水時290×290×335mm、重量約300gです。材質はWA10と同じポリエチレンです。
空の状態は約300gですが、水を20L入れると記事内概算では約20.3kgになります。容器そのものが軽いことと、満水で運びやすいことは、別の話として考えておきたいところです。
20Lを選ぶなら、カートや台車を使うのか、給水所までに段差や階段がないかを先に確認しておきましょう。
10Lで広口・コック・取っ手を使いたい|NEWボルディウォータータンク10L
キャプテンスタッグの「NEWボルディウォータータンク10L」UE-2046は、折りたたまず形を保つ、約10Lのタンクです。
メーカー公式ページでは、サイズ約355×145×高さ295mm、容量約10L、材質はポリエチレンとされています。広口キャップ、コック、取っ手を備え、蛇口部分には汚れやほこりの侵入を防ぐキャップが付いています。
キャプテンスタッグ公式楽天市場店では、製品重量は約880gと案内されています。水を約10L入れた場合、記事内概算では約10.9kgです。
折りたたみ式のように小さくはなりません。そのかわり、固定サイズのまま置ける場所があり、広口やコックの使い方を重視するなら、比較候補になります。
20Lを形を保つタンクで備える|NEWボルディウォータータンク20L
「NEWボルディウォータータンク20L」UE-2049は、同じ構造で容量が約20Lのモデルです。
メーカー公式ページでは、サイズ約400×190×高さ365mm、容量約20L、材質はポリエチレンです。10Lモデルと同様に、広口キャップ、コック、取っ手、蛇口のキャップを備えています。
キャプテンスタッグ公式楽天市場店で確認できる製品重量は約1.1kgです。水を約20L入れた場合、記事内概算では約21.1kgになります。
一度に20L入ることだけで決めず、記事内概算で約21.1kgになった状態をどう移動させるかまでセットで考えておきたいところです。
折りたたみ式は収納、形を保つタイプは置き場所から考える
折りたたみ式の分かりやすい利点は、空のときに小さくできることです。ゼニスWA10は折畳時200×200×60mm、WA20でも260×240×70mmです。
一方、NEWボルディウォータータンクは折りたたまないため、10Lなら約355×145×高さ295mm、20Lなら約400×190×高さ365mmの収納場所が必要です。
どちらが優れているかではなく、平時にどこへ置くかで選び分けます。
- 防災用品の棚や収納ケースへ小さくしまいたい → 折りたたみ式
- 固定サイズのタンクを置ける場所がある → 形を保つタイプも候補
- 広口キャップで内部を洗いやすい構造を重視する → NEWボルディも比較
- 満水で運ぶ負担を抑えたい → 容器構造より先に10L・20Lを見直す
「折りたためるか」だけでなく、満水にして自宅へ戻る場面までつなげて考えると、選びやすくなります。
給水所へ行くなら、容器だけでなく「運ぶ道具」も準備する
給水タンクは、買って終わりではありません。断水時に給水所へ行くなら、満水になった容器をどう持ち帰るかも備えのうちです。
横浜市の「家庭や職場における飲料水の備えについて」では、災害時給水所には水を入れる容器を備えていないとして、水を入れる容器と、運ぶためのカートなどを用意するよう案内しています。
東京都の「東京防災」でも、災害時給水ステーションから水を運ぶ際に、ポリタンクやウォータータンク、キャリーカートがあると便利としています。ペットボトルをリュックなどで運ぶ方法も紹介されています。
カートを使う場合も、タンクの容量だけで決めず、次の点を確認しておきます。そのため、先に運び方から「10Lか20Lか」を決め、そのあとで収納性や使い方から容器のタイプを選ぶと整理しやすくなります。
- カートや台車の耐荷重
- タンクを安定して載せられるか
- 給水所までの路面や段差
- 自宅までに階段があるか
- マンションでエレベーターが止まった場合にどうするか
たとえば、自宅から給水所まで片道500mあるとします。20Lのタンクなら、水だけで約20kgです。そこから500m歩いて持ち帰り、エレベーターが止まっていれば3階まで階段で運ぶことになります。
一方、10Lなら1回あたり約10kgにできますが、20L分を運ぶには2回往復する必要があります。重さを取るか、往復回数を減らすかで、選び方は変わります。
自宅から給水所までの距離、坂道や段差、階段の有無を一度当てはめてみると、10Lと20Lのどちらが現実的か見えやすくなります。
給水タンクは「保存水」と「水道水のくみ置き」とは役割が違う
給水タンクは、断水後に給水所などから水を持ち帰る場面を想定する容器です。自宅に何日分の飲料水を備蓄するかとは、いったん分けて考えます。
自宅に置く保存水の必要量を知りたい場合は、「一人暮らしの保存水は何本必要?3日分・7日分を500mL・2Lで計算」で具体的な本数を整理しています。

水道水を平時にくみ置きして備える場合は、「水道水は何日保存できる?災害用にくみ置きするときの方法と注意点」で、容器・保存場所・入れ替えの考え方をまとめています。

給水タンクを用意していても、災害直後からすぐ給水を受けられるとは限りません。平時の飲料水備蓄と、断水後に水を運ぶための容器は、別の役割として備えておく方が整理しやすくなります。
まとめ|10L・20Lは「満水でどう運ぶか」から決める
給水タンクは、容量が大きいほど防災向き、というわけではありません。
- 手で持って運ぶ可能性がある → 10Lも比較候補
- カートや台車を使う前提で一度に多く運びたい → 20Lも比較候補
- 空のときの収納を小さくしたい → 折りたたみ式
- 固定サイズの置き場所があり、広口やコックの構造を重視する → 形を保つタイプも候補
10Lでも水だけで約10kg、20Lなら約20kgです。まず満水の状態で自宅まで持ち帰れるかを考え、そのあとで収納方法や容器の形を選びます。
タンクを買う前に、自宅から給水所までの経路と、階段・段差・カートの使い方まで一度確認しておくと、自分の家庭に合う容量を決めやすくなります。
